
僕のところのプラモデルで,組み立てにくいというのは,ほとんどないと思います。実物通りのディテールを追求すると,組み立てやすさがおろそかになりがちですが,それでは組み立てのときストレスがたまってしまう。
そこで,50年前にプラモデルの製造を始めた時から,しばらく僕が組立説明書を書いていました。どこから作ったら組み立てやすくて接着剤がはがれにくいか。そんなことを考え抜いて工程別に図面を描いていきました。当時の組立説明書は,大雑把で分かりにくいのが当たり前だったんですけどね。
なぜそこまでしたのか。プラモデルの品質というのは,模型としての正確さとか,組み立てやすさといったことを含めて「買ってもらった後で,どんなふうに満足してもらえるか」だと思っていたからです。(以下,「日経ものづくり」2008年8月号に掲載)