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【特集】逆風に挑むソニーの現場力

米国発の金融危機に端を発する市場の冷え込みと円高の進行。米国の大手証券会社が破綻した2008年9月以降,日本の製造業に強烈な逆風が吹いている。海外の売り上げ比率が75%を超え,クリスマス商戦を最大の稼ぎ時とするソニーはこの影響を受け,2008年度の業績予測の下方修正を余儀なくされた。だが,業界をリードするために必要であると同社が考える「営業利益率5%」の確保は,今後も「ベースライン」として維持する構え。このために,ソニーは個々の製品の付加価値を支える優位な技術や方法を深掘りし,同時に全社的に展開する設計支援で横串を通して競争力強化を図る。逆風の中,ソニーは目標に向かって一歩ずつ進んでいる。(近岡 裕)


【特集】逆風に挑むソニーの現場力

 まるで“逃げ水”のようだ。ソニーのものづくりを担うエレクトロニクス事業は,「復活」の2文字を手にすべく,2005年度に赤字の状態からリストラによる体質改善を図った。その後,懸命に走り,2007年度には自ら宣言した「営業利益率4%」の目標を突破(図)。5.4%という成績を収め,復活をつかみかけたその瞬間,2008年9月に米国の大手投資銀行が破綻する「リーマンショック」が勃発。世界的な金融危機へと発展して市場が冷え込んだ上,急速な円高の進展が進み,2008年度はソニー全体で見た営業利益で約6割減の下方修正を余儀なくされた。同じく,全体の営業利益率は2.2%まで低下する見込みだ。(以下,「日経ものづくり」2008年12月号に掲載)

図●ソニーのものづくりを担うエレクトロニクス事業を率いる中鉢良治氏と復活具合
図●ソニーのものづくりを担うエレクトロニクス事業を率いる中鉢良治氏と復活具合
同氏が社長に就任後,同事業は順調に回復し,2007年度は目標を超えた。だが,米国の金融危機や世界的な消費の冷え込みの影響を受けて,再び営業利益率は下がる見込み。

【特集】逆風に挑むソニーの現場力

 デジタル・ビデオ・カメラ「ハンディカム」と,デジタルカメラ「サイバーショット」(図)。両製品は,最近のソニーがものづくりで稼ぎ出す利益のざっと6割を占める「ドル箱」だ。2007年度の営業利益率は,「デジタル・ビデオ・カメラが約25%,デジタルカメラが約20%」(大和総研企業調査第二部上席次長シニアアナリストの三浦和晴氏)にも達した。(以下,「日経ものづくり」2008年12月号に掲載)

図●ソニーのデジタル・ビデオ・カメラ「ハンディカム」とデジタルカメラ「サイバーショット」
図●ソニーのデジタル・ビデオ・カメラ「ハンディカム」とデジタルカメラ「サイバーショット」
世界シェアも利益率も高い「ドル箱」製品。数値は大和総研調べ。

【特集】逆風に挑むソニーの現場力

 ソニーが進める「選択と集中」の経営戦略が最も顕著に表れているのが,半導体事業だ。ゲーム機「プレイステーション3」に搭載したマイクロプロセサ「Cell」などを造っていたことで知られる,ソニーセミコンダクタ九州長崎テクノロジーセンター内にある工場「Fab2」に設けた300mmウエハーの製造ラインを,2008年2月に東芝に売却。その一方で,経営リソースの多くをCCD/CMOSイメージセンサに集中投下した(図)。(以下,「日経ものづくり」2008年12月号に掲載)

図●ソニーが半導体事業の中で力を入れるCMOSイメージセンサ
図●ソニーが半導体事業の中で力を入れるCMOSイメージセンサ
大型,高画質・多画素の領域で,高いシェアの維持や市場の拡大を狙う。

【特集】逆風に挑むソニーの現場力

 厳しい価格競争の波に最もさらされている製品の一つが,パソコン(PC)だ。こうした中で,ソニーのPC事業は健闘を見せている。利幅の薄い「デスクトップは超ハイエンドに絞り込んで実質的に撤退し,同社が強みを発揮しやすいノートPCに絞り込んだことが実を結び,営業利益率を5%程度は出せる実力になってきた」(大和総研企業調査第二部上席次長シニアアナリストの三浦和晴氏,図)。(以下,「日経ものづくり」2008年12月号に掲載)

図●設計と製造が一体となって造るノートPC
図●設計と製造が一体となって造るノートPC
薄さ,軽さ,堅牢性といった付加価値を追求する。

【特集】逆風に挑むソニーの現場力

「1社(工場),10芸を目指せ」─。ソニー執行役副社長の中川裕氏が,各事業所(工場)にこう発破を掛けている。
 少し前まで,日本の電機メーカーは国内の競合と勝負していた。競争が限定されるため,「1工場,1芸」を合言葉に,自ら誇れる優れた特徴が一つあれば戦えた。だが,デジタル家電の時代になり,主要部品を買ってきて組み立てれば,そこそこの製品はできてしまう時代になった今,競争は韓国や台湾,中国を含めたグローバル競争となった。(以下,「日経ものづくり」2008年12月号に掲載)

図●現在,ソニーが目指す設計プロセス
図●現在,ソニーが目指す設計プロセス
設計構想以上の上流設計でも,メカ設計や電気設計といった具体的な各専門領域の設計においてもシミュレーション技術を積極的に使う。各専門領域の設計をすべてレビューできるプラットフォーム「SP∞DER(スパイダー)」も開発し,設計の効率や品質を高めていく。これにより,世界一の特徴を持つ製品を生み出していく。