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【私が考えるものづくり】岩崎隆夫 クレハ 代表取締役社長 ロングレンジで考える

 大切なのは,物事をロングレンジで考えることです。例えば今,米国で建設しているPGA(ポリグリコール酸)という樹脂の製造プラントは,技術開発と市場調査に15年。ようやく事業化を決定したのは2007年12月で,そこからプラントの設計に入って2010年4月に稼働します。この事業が利益を生み始めるには,さらに2年ぐらい必要で,もくろみ通りに大きく育つのは,もっと先。つまり,合計30年ぐらいの時間軸で事業を考えなくちゃならない。
 PGAを1932年に初めて合成したのはWallace H.Carothers博士です。米Du Pont社のナイロンの発明者ですが,この方,ナイロンより本当はこれをやりたかったらしい。でも,工業的に造るのは非常に難しく,1960年代に少量だけ実験室的に何とかできるようになって,今は体内で溶ける手術用の糸などに使われています。(以下,「日経ものづくり」2009年3月号に掲載)