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 光造形試作と金型の設計・製造を手掛けるインクスが2009年2月25日,民事再生法の適用を東京地方裁判所に申請し,事実上倒産した。1990年に設立。職人の腕が物をいうとされる金型業界に彗星のごとく現れ,金型設計・製造の自動化を一気に推進した。「予兆は全くなかった。まさかあそこが倒産するとは…」(ある金型メーカーの経営者)。いまや業界で知らぬ者などいない“スター”の実質的な倒産に,業界関係者は驚きを隠せない。

 直接的な原因は,2008年後半に売上高が急減したことだ。ある債権者によると,2009年3月4日に開かれた債権者説明会で同社は,米国のサブプライムローンに端を発した自動車不況が原因だと説明。さらに「『多額の借入金の返済に加え,人件費や外注費,本社の家賃などの支出が月に数億円もあり,このままでは2009年5月までに資金繰りに窮する』と話した」(ある債権者)。帝国データバンクによると,同社の2007年12月期の売上高は約104億9300万円で,同期末の負債総額は約169億300万円だった。

〔以下,日経ものづくり2009年4月号に掲載〕