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 白鳩は,ガーゼや不織布のマスクを年間約5000万枚生産する繊維雑貨品メーカーである。愛知県の知多半島で多く作られていたガーゼを利用して,1950年代後半からマスクの生産を始めた。それまで防塵などの産業用や医療用だったマスクが一般家庭に普及するきっかけになったのは,防寒用に発売した同社の商品だったとされる。自社ブランド品だけでなくOEM(相手先ブランドによる生産)にも対応しており,現在,国内12社の商品を生産している。

季節外れのマスク増産

 マスクは,冬から春先にかけての季節商品である。風邪や花粉飛散の時期に合わせて,例年だと前年の9月に生産を開始し,4月中旬にはほぼ終了する。ところが,2009年は異例の事態が生じた。4月後半から世界中で猛威を振るい始めた新型インフルエンザ(豚インフルエンザから変異したもの)の予防のため,国や自治体,OEM先などから突然の増産を求められたのだ。白鳩では急きょ,5月の大型連休中に1000万枚のマスクを生産。それでも全て出荷してしまい,倉庫は連休後でもカラの状態だ。

 この社会現象をマスクメーカーに対する特需と見る人は多い。しかし, 「マスクの効用が注目されるのはうれしいが,急な増産が及ぼす影響が心配」と白鳩社長の横井洋男氏は打ち明ける。

〔以下,日経ものづくり2009年6月号に掲載〕

ICタグを活用したマスクの自動縫製
マスクの生地を治具(左側)にセットすると,縫製機側のICタグリーダー(○で囲った部分)が縫製情報を読み取り,縫製を始める。