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「だから,部下が動く トヨタ流 人づくり」では,今,多くの日本メーカーの管理者が頭を悩ませている社員の人材育成に関して,トヨタ自動車流の考え方や方法を伝授します。社員にやる気とモチベーションを与え,自ら動く組織をつくるための直接的,間接的なヒントが満載です。本コラムは中部産業連盟が開催するセミナー「トヨタ流モノづくりと人づくりの心・伝承塾」の内容を編集部が取材し編集したものです。

 10年後の確率は5%,30年後は2%というものがあります。さて,これは一体,何の確率でしょうか?

 いきなりで恐縮ですが,この問題の答えを考えてみてください(図)。すぐに分かった人はどれくらいいるでしょうか。勘の鋭い人なら,ああ,あれだなと答えが思い浮かんだかもしれません。そう,これは「会社が生き残る確率」なのです。

図●問題「これは一体,何の確率でしょうか?」
企業にとって「30年を生き延びること」がいかに難しい か,このように説明されることが多い。

企業の寿命は30年

 この数字を見ると,事業を継続することがいかに厳しいかが,ストレートに伝わることでしょう。昨日と同じ仕事を漫然と繰り返し,いつまでも似たような製品やサービスを顧客に提供し続けるだけでは明日はない,ということを雄弁に物語っていると言えます。職場を導く管理者としては,この厳しい現実を改めて認識すべきです。そして,職場や社内で危機感を共有するためにも,ぜひ一度,この問題をメンバーに出題してみてください。

 しかし,動物や植物などの限りある命とは異なり,本来,会社には寿命などという定義はありません。確率はあくまでも確率。全体から見るとごく少数かもしれませんが,世の中には30年どころか,50年,100年と続き,依然として伸びている会社も存在するのです。

〔以下,日経ものづくり2009年6月号に掲載〕

肌附安明(はだつき・やすあき)
HY人財育成研究所 所長
トヨタ自動車にて約30年間にわたり,多くの新車開発プロジェクトで設計や生産設備の立ち上げ業務をこなしてきた技術者。その後,同社TQM推進部の課長として役員への企画提案や,社員の人材育成,協力会社の育成指導を約10年間行った。2008年8月に同社を定年退社,HY人財育成研究所を立ち上げ,所長に就任。トヨタ流の業務の進め方や人材育成について講演・執筆活動を精力的に展開している。主な講演に,本誌および中部産業連盟で開催する「トヨタ流モノづくりと人づくりの心・伝承塾」などがある。