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国内カメラ・メーカーがデジカメの無線LAN対応に再挑戦を始めた。背中を押したのは,米国発の無線通信機能付きSDメモリーカード「Eye-Fiカード」。インターネットの写真共有サービスの普及など追い風も吹き,デジカメとネット・サービスの融合が本格的に進む兆しが見えてきた。ただし,取り組みは始まったばかり。いかにネット・サービスと連携し,新たなビジネス・モデルを打ち立てるか。知恵の勝負が始まる。

無線対応デジカメに再挑戦

 2009年に入り,国内大手デジタル・カメラ・メーカーがこぞって正式対応を打ち出し始めた小型メモリ・カードがある。無線LAN機能を載せたSDメモリーカード「Eye-Fiカード」だ。同年1月にはカシオ計算機が普及価格帯のコンパクト・デジカメ「EXILIM ZOOM EX-Z400」などで,同年5月には三洋電機が防水機能付きのデジタル・ビデオ・カメラ「Xacti DMX-WH1E」で対応を表明した。今後,Eye-Fiカード対応を打ち出すメーカーや新機種は,さらに増えることになりそうだ。

 米国のベンチャー企業,Eye-Fi,Inc.が開発したこのカードの特徴は,SDメモリーカード・スロットに差し込むだけで,デジカメを無線LAN対応にできることにある。家庭内の無線LANルータや,公衆無線LANなどへの接続をあらかじめ設定しておけば,撮影した写真を自分のパソコンやインターネットの写真共有サービスに自動で転送できる。メモリ・カードの移し替えや,USBケーブルでデジカメをパソコンにつなぐといった煩雑な手間を省ける利便性が人気を呼び,米国を中心にじわじわと利用者の輪が広がりつつある。

 機を同じくするように,かねて無線LAN機能を内蔵したデジカメを製品化してきたメーカーの新機種投入も相次ぐ。インターネット接続事業などを手掛けるフリービットや,ネット家電ベンチャーのセレボなど新興勢力の参入表明も活発だ。  デジカメの無線対応が活発化する背景には,3~5年後に迫る無線通信の高速化がある。データ伝送速度が最大100Mビット/秒を超える移動体通信方式「LTE(long term evolution)」などが実用期に入り,デジタル家電を取り巻く環境ががらりと変わる1)。その時期には,撮影機能面でデジカメ専用機に肉薄するであろう携帯電話機のカメラ機能と,否が応でも同じ土俵に乗ることになる。それに備えて今からネット・サービスとの連携で布石を打ち,カメラ・メーカーならではの新たなビジネスモデルを模索しておかなければ生き残れない。デジカメの無線化は,同様の立場に置かれる他のデジタル家電にとってのロール・モデルになる可能性を秘めている。

無線機能の有効性を試せる

『日経エレクトロニクス』2009年6月15日号より一部掲載

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