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新型のハイブリッド車が「大衆車価格」で購入できるようになったことで,以前に増して低燃費を支える技術の開発が進んでいる。軽量化部品や新しい方式の空調,金属を代替する樹脂フィルム,リチウムイオン2次電池…。自動車技術展「人とくるまのテクノロジー展2009」で,低燃費に関する注目技術を追った。

 出展者は2割減,出展ブースは約25%減。2009年5月20~22日に横浜市で開催された自動車技術展「人とくるまのテクノロジー展」の会場は,明らかな規模の縮小が見られた。クルマの世界的な販売不振で,依然,多くのメーカーが生産調整を続けている。同技術展もまた,この厳しい現実から逃れることはできなかったようだ。

 だが,展示された技術の水準は例年に比べて劣っていない。2009年5月18日の発売前に8万台を超える受注を得るなど話題を集めていた,トヨタ自動車のハイブリッド車である新型「プリウス」の発売直後に開催されたことで,そこに搭載された新技術が続々と出展されたからだ。

 今回のプリウスが人気を集める最大の理由は,205万円から購入できる「値ごろ感」だろう。一足先に発売されたホンダの「インサイト」の最安値189万円と併せて,この低価格がハイブリッド車の印象を「大衆車」に変えた。このことが,低燃費を支える技術の開発に拍車を掛ける可能性がある。購入者がハイブリッド車が提供する優れた低燃費を,今後は「ごく普通のもの」と,とらえ始める可能性が高いからだ。欧米を中心に強化される燃費規制への対応に,新たな開発動機が加わった。

高張力鋼板で1割軽量化

 プリウスが実現した10・15モード燃費は38.0km/L。これにはもちろん,ハイブリッド・システム「リダクション機構付きTHS?」が担うところが大きいが,それだけではない1)。トヨタ自動車は部品の軽量化も進めてきた。

 例えば,「新世代シート」だ(図)。より強度の高い高張力鋼板を採用し,部品点数と締結点数を減らして,シート全体の質量を1割削減した。トヨタ自動車とトヨタ紡織,アイシン精機,シロキ工業の4社が共同開発したもので,トヨタ紡織がシート骨格「TB-NF110」を,アイシン精機がシートスライド「次世代シートスライド」を,シロキ工業はブレーキメカと呼ばれる部分を担当している。

 軽量化の最大のポイントは,引っ張り強さ980MPaの高張力鋼板を採用したこと。これによって,大物部品をより薄い鋼板で成形(薄肉化)することで軽くする。例えば,シート骨格ではサイドフレームに980MPaの高張力鋼板を使用。鋼板の厚さは「従来よりも薄い1.2mm」(トヨタ紡織の説明員)とした。

〔以下,日経ものづくり2009年7月号に掲載〕

図●軽量化した「新世代シート」
強度の高い高張力鋼板を採用し,部品点数や締結点数を削減することで従来よりも1割軽くした。トヨタ自動車とトヨタ紡織,アイシン精機,シロキ工業の4社が共同開発した。