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 伊藤鉄工の主な生産品は,排水管用継ぎ手やマンホールのふたなど,建築・土木資材を中心とする鋳物である。しかし最近,熱膨張しにくい鋳鉄を開発し,精密機器や光学機器へと事業分野の拡大を進めている。もともと,同社はダクタイル鋳鉄の薄肉・軽量加工を得意とし,材料開発から鋳造,機械加工,塗装までを一貫して手掛けてきた。この一貫体制が新規事業への進出の基盤となった。

従来品比で1/2に軽量化

 伊藤鉄工が本格的にダクタイル鋳鉄の薄肉・軽量化鋳造に着手したのは約10年前である。主力製品である排水管用継ぎ手の普及を図るため,一層の軽量化を進めようと考えた。

 ダクタイル鋳鉄は,鋳鉄組織の中に析出している炭素粒子(黒鉛)の形状が球状であることから,球状黒鉛鋳鉄とも呼ばれる。一般的なねずみ鋳鉄は,黒鉛結晶が多数の薄い筋状になって不規則に連なっているので,鋳物に応力がかかるとその黒鉛結晶の端部があたかも亀裂先端のような応力集中を起こし,脆ぜいせい性破壊が発生しやすい。これに対してダクタイル鋳鉄は黒鉛結晶が一つひとつ独立し,しかも球状なので応力集中が起きにくいことから,割れにくく強度が高いことで知られる。

〔以下,日経ものづくり2009年7月号に掲載〕

鋳鉄を溶かす溶解炉
溶解した鋳鉄は取鍋(とりべ)と呼ばれる容器に移した後,型に流し込む。