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ウエハーレベル・カメラは,カメラ・モジュールを安く,小さく製造する技術である。最大の特徴は,半導体製造技術を応用してレンズまで作ること。既にOmniVision社や東芝,Nokia社と密接な関係を持つSTMicroelectronics社などが,実用化に乗り出している。このため,カメラ・モジュールやレンズを手掛ける企業は,納入先を失うリスクにさらされるようになった。サプライ・チェーンを変え得るこの技術の現状を報告する。加えて,製造拠点になる見込みである台湾企業と取引するときのコツも記す。(本誌)

田島 剛
スリー・ディ・アイ 副社長

ウエハーレベル・カメラの用途

 レンズの実装はこれまで,カメラ・モジュールの製造コストを押し上げる大きな要因だった。半導体製造技術や高耐熱樹脂を適用して,この課題を解決する。こうした狙いの下で生まれたレンズ製造・実装技術が「ウエハーレベル・カメラ」である。同技術を適用したモジュール自体も,ウエハーレベル・カメラと呼ぶ。

 ウエハーレベル・カメラの用途は,携帯電話機やパソコン,カプセル内視鏡,車載カメラと幅広い。そして,どの用途においても将来,主流になると考えられている。ウエハーレベル・カメラは他のモジュールよりも,原理的に安く,小さくできる。

 安さと小ささは,決して侮れない。新しい用途を切り開くことが考えられるほどだ。例えばウエハーレベル・カメラを携帯電話機に二つ搭載すれば,3次元の動画や写真の作成がグッと身近なものになるだろう。さらに,ウエハーレベル・カメラは,260℃ほどのリフロー実装に耐えられるほど熱的に丈夫という特徴まで備えている。

 一方でウエハーレベル・カメラ技術は,光学部品やカメラ・モジュールの製造にかかわる企業から見れば「破壊的技術」以外の何者でもない。これまでのサプライヤーは,自らの強みや役割を見直す必要がありそうだ。仮に,これに失敗すれば市場からの退出を迫られることさえ考え得る

 本稿では,まずウエハーレベル・カメラの構造を説明した上で,特徴や技術開発の牽引役を説明する。さらに,技術の成熟度も示す。率直に言って,ウエハーレベル・カメラ技術を手掛ける一部の企業が喧伝するほど「技術が確立した」とは,たった今の時点では言い難いからだ。最後に,台湾企業と付き合う上で知っておくべき,基本的で大事なことに言及する。半導体製造の世界最大の集積地が台湾だからである。

『日経エレクトロニクス』2009年8月10日号より一部掲載

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