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 「問題は,同じ事故が繰り返されていることにある」。2009年8月に開催された「キッズデザイン博2009」のシンポジウム「キッズデザインとものづくり~事故予防に向けて~」で,経済産業省製造産業局デザイン・人間生活システム政策室室長補佐の高木美香氏は,子どもの安全を守る製品設計の重要性についてこう指摘した。

 「不慮の事故」で亡くなる子ども(0~19歳)は,1年間で1000人を超える。その中で,例えばプールの排水口にまつわる事故は過去40年間で60件超発生し,55人が死亡している。高木氏の指摘通り,同じ事故が繰り返される結果,不慮の事故は1960年代から,0歳児を除く子どもの死因のトップであり続けている。

 なぜ,子どもの事故は繰り返されるのか──。高木氏は,「子どもの事故に関する情報が社会全体で共有されていない」ことを原因に挙げる。例えば衣類によって子どもが危害を受け,さらにその原因が「衣類や表示,取扱説明書の問題による」と考える親のうち,苦情をメーカーに届け出たのは2.4%,販売店に申し出たのは1.7%にすぎず,実に96%が「どこへも言わなかった」。このように,子どもの事故に関する情報は,メーカー側にはほとんど伝わっていないのが現状という。

 そこで,経済産業省は2007年度から「安全知識循環型社会構築事業」を展開。医療機関を通して子どもの事故情報を収集し,医学や工学の専門家などの分析によって得られた情報を社会全体で共有する仕組み作りを進めている。今では,5376件(2006年11月~2009年3月)の事故情報が集まった。

 こうした情報を,子どもの安全を確保する製品設計(キッズデザイン)に生かし,事故を未然に防ぐのが,メーカーに与えられた課題だ。「第3回キッズデザイン賞」を受賞した製品を例に,そのヒントを探ってみた。

〔以下,日経ものづくり2009年9月号に掲載〕