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「勝つ設計」は,日本のVEの第一人者である佐藤嘉彦氏のコラム。ただ安さばかりを求めて技術を流出し,競争力や創造力を失った日本。管理技術がこれまでの成長を支えてきたという教訓を忘れた製造業。こうした現状を打破し,再び栄光をつかむための製品開発の在り方を考える。

 作成したビジネスプランに,さらに商品企画段階での検討を加えることで,競争力のある目標ができた。併せて,何種類かのマネジメント上の目標も作った。これで,製品は勝てる商品に,会社は競争力のある会社に脱皮できるはず…。と思いきや,この段階はまだまだ「捕らぬたぬきの皮算用」。本当の勝者になるためには,次の段階における「勝てる管理」が必要だ。

 ただし,目標を作って走りだした段階というのは,ゴールまでの時間がたっぷりとある(実際には,最初からあたふたするが)。すると,つい「まだ大丈夫」と,緊張を先送りしてしまうもの。実際,この油断で私自身,何度失敗したことか。そして会社を,何度苦境に立たせたことか。収益を確保するために後追いの設計変更を実施し,余分なリソースを費やしてしまったり,為替の変動でいずれ円高に振れるのは分かっているのに,円安という追い風を受けてコストダウンの手が甘くなったり…。ついつい,問題を先送りし緩んでしまうのである。今回はまず,自動車開発に携わっていた私の失敗談からお話ししよう。

〔以下,日経ものづくり2009年9月号に掲載〕

佐藤嘉彦(さとう・よしひこ)
VPM技術研究所 所長
1944年生まれ。1963年に,いすゞ自動車入社。原価企画・管理担当部長や原価技術推進部長などを歴任し,同社の原価改善を推し進める。その間に,いすゞ(佐藤)式テアダウン法を確立し,日本のテアダウンの礎を築く。1988年に米国VE協会(SAVE)より日本の自動車業界で最初のCVS(Certified Value Specialist)に認定,1995年には日本人初のSAVE Fellowになるなど,日本におけるVE,テアダウンの第一人者。1999年に同社を退職し,VPM技術研究所所長に就任。コンサルタントとして今も,ものづくりの現場を回り続ける。