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「実践モジュラーデザイン」は,部品の種類に対して相対的に製品の多様化を図り,収益を改善するための「モジュラーデザイン(MD)」について,科学的・体系的に解説するものです。

 部品のモジュール化に取り組むとき,現在の技術レベルのままでモジュール化すると,そのモジュールは現在の技術レベルで固定になる。一方,世の中の技術革新トレンドは常に上昇しているので,モジュール化した部品はすぐに競争力がなくなり,誰も使わないモジュール部品になる。

 そこで,部品をモジュール化しても一定期間使い続けられるように,モジュール化するときはVE(ValueEngineering)で世の中の技術レベル以上に部品を革新することが原則である。技術革新トレンドが追い付いてきたら再びVEを実施して突き放す。

 設計者は,常に世界最高の商品力をもつように設計することを義務付けられているので,部品の共通化が難しいとの話をよく聞く。しかしモジュラーデザイン(MD)では,第6回(2009年9月号)で述べた「製品ミックス」でも,今回の「設計・製造連携VE」でも,初めに製品革新や部品VEを求める。現存部品の流用化など過去のしがらみにとらわれないで世界最高の商品力を持った製品を設計してほしい。しかる後に規則的な製品シリーズ展開や部品のモジュール化をするのである。

 商品力のない製品では,いかに部品を共通化しても無意味である。製品革新・部品革新した上でモジュール化した部品は流用可能性が高くなるので,次の世代や他の製品でも使える部品が次第に増えてくる。

 表に,本コラムで述べるMDベースの設計・製造連携VE(以下,当VEという)のステップを示し,一般のVEとの違いを示した。以下,表のステップに従って説明する。

〔以下,日経ものづくり2009年10月号に掲載〕

表●MDベースの設計・製造連携VEのステップと,一般のVEとの違い
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日野三十四(ひの・さとし)
モノづくり経営研究所イマジン 所長,日本IBM 顧問
1968年に自動車メーカーに入社。1980年にトヨタ自動車のベンチマーキング開始。1988年にトヨタの部品共通化能力を超える手法を目指し,MDの研究を開始。2000年に経営コンサルタントとして独立。2002年に『トヨタ経営システムの研究』(ダイヤモンド社)を出版(韓,台,米,タイ,中で翻訳出版)。2003年に日本ナレッジ・マネジメント学会から研究賞受賞。2003年から日韓の重工業や電機メーカーなどでMDをコンサルティング。2007年に“製造業のノーベル賞”といわれる米Shingo Prizeから研究賞受賞。2008年から日本IBM顧問。