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 人間万事塞翁が馬。人生とは,思い掛けないことや予測のつかないことが多く,だから,やたらに喜んだり悲しんだりしても始まらないという例え話である。確かに先のことは分からないが,しかし一人暮らしのお年寄りや,以前ほど動き回ることができない老夫婦,けが人や病人にとって,そう言われても不便や不安が解消することはない。

 塞翁とは,昔,中国北辺の国境近くに住んでいた老人のことであり,今でいう独居老人のような人だった。持っていた馬が逃げ出して落ち込んでいたが,その馬が駿馬を連れて帰ってきたので喜んだ。ところが,その馬に乗った子供が落馬してけがをしてしまう。だが,その子供は兵役を免れて死なずに済んだという。人生とはこのように,幸と不幸が目まぐるしく回るのだろう。仮にこの老人の元に「この馬は駿馬だが,気性は激しい」といった情報があれば,けがという不幸は回避できたかもしれないし,兵役を免れるための手立てを他に求めることもできたかもしれない。要は,情報があれば,ある程度の予測や計画は可能になる。

 そこで,現代の塞翁たちに役立てようと開発された情報端末がある。今どき,高度な携帯電話機やパソコンなんて触りたくもないという高齢者は多い。しかし,開発された情報端末はテレビ電話,Webサイトの閲覧,メールはもちろん,各種アプリケーション・ソフトを搭載できる。高性能でありながら誰もが何の抵抗もなく,タッチパネルでこれらの機能を簡単に利用できるスグレモノだ。

 現代の塞翁のために開発された情報端末。これからは,塞翁がユビキタスなのだ。

 何しろ,ネーミングがいい。「万事万端」。例え話のタイトルみたいだが,この情報端末のために生み出された造語だ。これを最初から開発した,コトブキソリューション(本社広島県呉市)の宮本幸治さんが考えたという(図)。

〔以下,日経ものづくり2009年10月号に掲載〕

図●「万事万端」を前に,宮本幸治さん(左)と筆者(右)

多喜義彦(たき・よしひこ)
システム・インテグレーション 代表取締役
1951年生まれ。1988年システム・インテグレーション設立,代表取締役に。現在,40数社の顧問,NPO日本知的財産戦略協議会理事長,宇宙航空研究開発機構知財アドバイザー,日本特許情報機構理事,金沢大学や九州工業大学の客員教授などを務める。