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欧州ジャーナリストの視点
フリーランス・ジャーナリスト Ian Adcock氏
英国在住。『What Car』『Autocar』『Motor』などの自動車専門誌の編集者を経て、1980年からフリーに。自動車技術専門誌の『European Automotive Design』誌に寄稿するなど技術にも詳しい。

 ことしは、スウェーデンVolvo社が3点式シートベルトを世に出して50周年の記念すべき年である。この発明は、死亡事故や傷害事故を防ぐための、最もシンプルで、最も効果的な方法だといえるだろう。シートベルトをしていたおかげで命を救われた人は、今日までに100万人を超えるに違いない。
 この50年の間に、自動車のパッシブおよびアクティブセーフティの装備は大きく進化してきた。にもかかわらず死亡事故をゼロにするまでの道のりはまだ遠い。その理由の一つは、先進国でも、そして新興国でもクルマが増え続けていることだろう。
 自動車事故による損失は、EU(欧州連合)全体では2007年に2000憶ユーロにも上ったと見積もられている。これはEU全体のGNP(国民総生産)の2%に当たる額である。国際自動車連盟(FIA)の統計によれば、前面衝突による死者が欧州では年間に1万5000人、側面衝突による死者が6500人、それぞれ発生しているという。もっとも、事故の発生率は、スウェーデンや英国といった比較的低い国と、リトアニアやラトビアといった高い国の間で、大きな開きがある。

以下,『日経Automotive Technology』2009年11月号に掲載