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趙 章恩(チョウ・チャンウン)
ITジャーナリスト

 2009年9月3日,李明博政府初のIT戦略である「ITコリア5大未来戦略」が発表された。「韓国の全産業の競争力はIT(情報技術)の力にある」(李大統領)とし,IT産業そのものを支援すると同時に,他の産業とITの融合などを支援していく。これによって,自動車,造船に続いて国内生産で1兆ウォン(1ウォン=約0.07円で700億円)を超える産業を10部門以上に増やすのが目標である。政府はこのIT戦略によって,韓国の潜在成長率が0.5%上昇すると見込んでいる。

 具体的には,「既存産業とITの融合」「主力IT関連産業(半導体,ディスプレイ,携帯電話機)」「ソフトウエア」「放送通信(WiBro,IPTV)」「Gビット高速インターネット」の5大部門を強化する。これらにおいて,装置の国産化や世界市場シェアの増加などを支援していく。2013年までに,政府が14兆1000億ウォン(約9900億円)を,民間が175兆2000億ウォン(約12兆2600億円)を投資する。

 この戦略を推し進める司令塔として,李政府は2009年下半期に大統領直属の「IT特別補佐官」を新設した。同政府は2008年,IT産業の振興ではなく,すべての産業をITと融合して発展させるとして,それまでIT政策を担当していた情報通信部を廃止している。

加入者はわずか23万人

 今回のIT戦略の中で,大きな注目を集めているのが「WiBro」である。WiBroは,WiMAX(IEEE802.16)規格をベースに,韓国の ETRI(電子通信研究院)らが中心となって独自に拡張した無線通信規格である。料金が高い3Gのモバイル・インターネットに代わる,安価で,かつ時速 100kmで移動しながらでも使える高速インターネット・サービスとして,政府の肝いりで開発が進められた。商用化は2006年6月と,WiMAX関連のサービスでは世界で最も開始が早かった。WiBroを内蔵し,全国各地に設置したカメラによる道路のリアルタイム映像を確認できるPNDが登場するなど,新たな市場の形成に向けて期待も大きかった

WiBroへの期待は大きいが…
『日経エレクトロニクス』2009年10月19日号より一部掲載

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