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吉川 俊英
富士通研究所 基盤技術研究所 主管研究員
金村 雅仁,多木 俊裕,今田 忠紘
富士通研究所 先端デバイス研究部 研究員
今西 健治
富士通研究所 先端デバイス研究部 主任研究員
原 直紀
富士通研究所 先端デバイス研究部 部長

インバータやコンバータといった電力変換器の電力損失を大幅に低減できるとして期待を集めるGaN系パワー素子。富士通研究所は,電気特性の面で実用水準を達成した。さらに,最大の課題である製造コスト低減に関しても見通しを付けつつある。2~3年後のサーバー機向け電源に搭載することを狙う。(本誌)

電力損失を1/3程度に

 インバータやコンバータ,スイッチング電源といった電力変換器に向けたパワー半導体素子(以下,パワー素子)として利用できるGaN系HEMT (high electron mobility transistor)を開発した。GaN系HEMTはこれまでWiMAXや携帯電話といった無線通信の基地局向け増幅器として利用されてきた。

 パワー素子としてGaN系HEMTを利用すれば,既存のSi製パワー素子と比較して電力変換器での電力損失を大幅に低減できる。例えば,サーバー機に搭載する1次側のAC-DCコンバータ回路にGaN系HEMTを利用した場合,Si製MOSFETと比較して電力損失を約1/3に低減できるとみている。

 GaN系パワー素子は電力変換器の小型化にも威力を発揮する。これにより,例えばノート・パソコンのACアダプタを小型化できる。将来的には筐体に内蔵できるほどACアダプタが小さくなるはずだ。

 我々は,2011年末~2012年ごろの量産を目指して研究開発を進めている。中耐圧以上,具体的には耐圧600V以上を求める分野で実用化する考えだ。まずは富士通のサーバー機向け電力変換器に適用し,次にノート・パソコンのACアダプタに展開する予定だ。その後は,自動車や家電,太陽光発電システムなど,幅広い用途の電源に適用していく方針である。

『日経エレクトロニクス』2009年11月02日号より一部掲載

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