「いやあ,うちの社員はどうしようもない」「言われたことしかしないんですよ。もっと自分で考えて仕事に取り組んでくれたらいいんですけどねえ…」。私は多くの企業の管理者や経営者の方から,何度となくこうした言葉を聞かされました。人材育成に関する仕事を行うようになった今でも,仕事上の付き合いで懇談するときなどによく耳にします。
相手の方は次のように考えたのかもしれません。同じ管理者を経験した者として,思うようにメンバーが動いてくれないという共通の悩みが分かるはず。だから,雑談の中でこうした話をすることで共感を得たい,と。
これは珍しい話ではなく,皆さんもこうした言い方をしている管理者や経営者を見たり聞いたりしたことがあるのではないでしょうか。いえ,人ごとではなく,自ら社外の人にこうした発言をしている管理者の方はいませんか? もし身に覚えがあるなら,すぐにやめるべきでしょう。
良い機会ですから,ここで一度,管理者の方は,自分自身の「マネジメント戦術」について振り返ってみることをお勧めします。まずは, 「できるメンバー」をつくり上げるためのマネジメント戦術を考えているかどうかについてです(図)。
〔以下,日経ものづくり2009年11月号に掲載〕

HY人財育成研究所 所長