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「勝つ設計」は,日本のVEの第一人者である佐藤嘉彦氏のコラム。安さばかりを求めて技術を流出させ,競争力や創造力を失った日本。管理技術がこれまでの成長を支えてきたという教訓を忘れた製造業。こうした現状を打破し,再び栄光をつかむための製品開発の在り方を考える。

 前回は「各種目標の割り付け」について述べた。今回は「目標管理」に移る(図)。具体的な手法に入る前に,あらためて目標管理の重要性について話をしておきたい。

 本連載の第1回で,私はCADを「Copy Aided Design」と揶揄した。今日の日本の製造業を憂いつつ実態を語ったつもりだが,Copy,すなわち従来と基本的に同じ設計ならベース価格も当然従来と同じレベルに落ち着く。例えば,ある部品の材料を従来と同じ鋳鉄にすれば,材料費も加工費も似たり寄ったりだ。

 しかし鋳鉄を別の金属や樹脂に置き換えたり,鋳造から別の工法に変更したりすれば,材料費も加工費も変わってくる。さらに,部品点数の多い構造からシンプルな構造に切り替えれば,部品費も組立費も違ってくる。もうお分かりだろう。従来設計の踏襲は従来コストの踏襲であるということを。

 同様のことは機能に関してもいえる。従来の機能の踏襲は,従来の競争力の踏襲である。寸法は変更したものの機能や構造が従来のままであれば,競争力はそれを最初に設計した時点と同じ。全く高まっていないのである。

〔以下,日経ものづくり2009年11月号に掲載〕

図●原価企画のプロセス
今回は,造り込み段階の「目標管理」について解説する。

佐藤嘉彦(さとう・よしひこ)
VPM技術研究所 所長
1944年生まれ。1963年に,いすゞ自動車入社。原価企画・管理担当部長や原価技術推進部長などを歴任し,同社の原価改善を推し進める。その間に,いすゞ(佐藤)式テアダウン法を確立し,日本のテアダウンの礎を築く。1988年に米国VE協会(SAVE)より日本の自動車業界で最初のCVS(Certifi ed Value Specialist)に認定,1995年には日本人初のSAVE Fellowになるなど,日本におけるVE,テアダウンの第一人者。1999年に同社を退職し,VPM技術研究所所長に就任。コンサルタントとして今も,ものづくりの現場を回り続ける。