前回は「各種目標の割り付け」について述べた。今回は「目標管理」に移る(図)。具体的な手法に入る前に,あらためて目標管理の重要性について話をしておきたい。
本連載の第1回で,私はCADを「Copy Aided Design」と揶揄した。今日の日本の製造業を憂いつつ実態を語ったつもりだが,Copy,すなわち従来と基本的に同じ設計ならベース価格も当然従来と同じレベルに落ち着く。例えば,ある部品の材料を従来と同じ鋳鉄にすれば,材料費も加工費も似たり寄ったりだ。
しかし鋳鉄を別の金属や樹脂に置き換えたり,鋳造から別の工法に変更したりすれば,材料費も加工費も変わってくる。さらに,部品点数の多い構造からシンプルな構造に切り替えれば,部品費も組立費も違ってくる。もうお分かりだろう。従来設計の踏襲は従来コストの踏襲であるということを。
同様のことは機能に関してもいえる。従来の機能の踏襲は,従来の競争力の踏襲である。寸法は変更したものの機能や構造が従来のままであれば,競争力はそれを最初に設計した時点と同じ。全く高まっていないのである。
〔以下,日経ものづくり2009年11月号に掲載〕

VPM技術研究所 所長