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 3回にわたり自動車部品メーカーの再成長に向けて、中長期的な設備投資の見直し(内製・外注の適正化)、部材コストの削減、間接材コストの削減について解説してきた。最終回の今回は、将来戦略をどのように見直すべきかを紹介する。

 自動車部品メーカーのこれまでの典型的な戦略は、「従来のビジネスの延長で売り上げを拡大しコストを下げ、そのために必要な生産および開発投資を行う」といったもので、それを「自動車メーカーからの要望に基づいて実現する」場合が多かった。しかし、現在のように急激な市場の縮小が起こり、その回復がどのように進むかが読みにくい状況では、これまでの戦略の立て方を抜本的に見直す必要がある。
 戦略を立てる一般的なステップとしては、(1)事業環境を幅広い視野で評価、(2)既存事業を今後の戦略に基づく指標で評価、(3)事業環境の変化と自社の歴史・現状を踏まえて目指したい将来の姿をトップダウンで定義、(4)事業の発展性と戦略的意義から優先すべき戦略をボトムアップで構築、(5)トップダウンのビジョンとボトムアップの戦略を統合、(6)移行プランの策定―と―いった進め方が有効である。
 ここでは(1)から(4)についてより詳しい考え方を紹介する。例えば、(1)から(4)においては、今後10年くらいで急速に進むパワートレーンの電動化による影響を考慮する必要がある。しかし、電動化がどのようなタイミングで、どのくらいの大きさで起こるのかを正確に予測するのは困難である。
 このように経営環境の変化が不透明な状況で戦略を立案する場合、いくつかの「環境変化シナリオ」を想定し、その中で重要となるシナリオをピックアップしてそれぞれのシナリオに応じて対応策を検討する方法が考えられる。
 まず、政治、経済、社会、技術など自社のビジネスに関係のある重要な事業環境要因を、相互の関連も含め俯瞰(ふかん)的および長期的視点で検討、整理する(図)。次に、それらがどのように自社の強み・弱み、機会・脅威に影響を及ぼしてくる可能性があるのかを複数の環境変化シナリオとしてまとめる。

以下,『日経Automotive Technology』2010年1月号に掲載
図 環境変化シナリオから戦略を導き出すステップ
複数の環境変化シナリオの中から、重要度の高いシナリオを抽出する。(出典:A.T.カーニー)