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欧州ジャーナリストの視点
フリーランス・ジャーナリスト Ian Adcock氏
英国在住。『What Car』『Autocar』『Motor』などの自動車専門誌の編集者を経て、1980年からフリーに。自動車技術専門誌の『European Automotive Design』誌に寄稿するなど技術にも詳しい。

 インドTata Motors社によるJaguar Land Roverグループ(JLR)の買収は、特に欧州大陸に拠点を置く多くの自動車業界関係者の目を見張らせた。一方で、ここ英国での驚きは、大陸ほどではなかった。というのも、紅茶のTetley社や製鉄のCorus社の経営で、Tataグループの「任せる経営」を目の当たりにしてきているからだ。
 Tata社による買収は、JLRの経営陣、特にJaguarの経営陣に歓迎された。Jaguarというブランドにおいて、創業者であるWilliam Lyons卿の伝統にのっとったデザインを続けていくこと、生産台数でドイツBMW社と競合できるブランドに育てていくこと――これらがもはや無理だということを、デトロイト仕込みの取締役たちは、ついに理解できなかったからだ。
 JaguarのチーフデザイナーであるIan Callum氏は、William卿と彼のチームが作り出したデザインに対し、深く敬意を払っている。しかし、Callum氏は伝統的な木目や革の要素に拘泥(こうでい)することなく、それらのテーマを前進させ、21世紀的解釈を盛り込むことに努力を傾けた。

以下,『日経Automotive Technology』2010年1月号に掲載