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P2P方式のファイル共有ソフト「Winny」。その開発者が逮捕された事件で大阪高裁が無罪判決を下した。世の耳目を集めた「Winny裁判」は何を浮き彫りにしたのか──。

ソフトウエアの提供は幇助行為か

 「本当に良かったとしか言いようがない」

 2009年10月下旬。その技術者は,インタビューの席に着くと,ホッとした表情で話し始めた。

 金子勇氏,39歳。P2P方式のファイル共有ソフトウエア「Winny(ウィニー)」の開発者である。現在は,ITベンチャー企業のドリームボートで技術顧問を務める。

 東京大学の特任助手を務めていた2004年5月。金子氏は京都府警に逮捕された。容疑は,著作権法違反幇助。前年の11月には,Winnyを使って映画やゲーム・ソフトを違法にインターネット上でダウンロードできるようにした容疑で,男性二人が逮捕されている。金子氏の容疑は,著作権侵害の事実を知りながらWinnyの改良・提供を続け,この事件の違法行為を助長したというものだった。

 1審の京都地方裁判所は2006年12月,金子氏に罰金150万円の有罪判決を言い渡した。同氏側は即日控訴。懲役1年を求刑していた検察側も,刑の軽さを不服として控訴した。

 2009年10月8日。2審の大阪高等裁判所は1審判決を覆し,一転して無罪の判断を示した。検察側は,ほぼ2週間後の期限ぎりぎりに上告しており,最終判断は今後の最高裁判所での審理に委ねられる。

一般的な開発・提供行為が犯罪に

 「気が付いたら刑事事件の被告になっていた」。金子氏は,逮捕当時をこう振り返る。

『日経エレクトロニクス』2009年11月30日号より一部掲載

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