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 海外勢が軒並み辞退するなど,例年と比べて出展社数がかなり少なかった「第41回東京モーターショー」。華やかさは影を潜めたものの,各社のブースを丹念に見ていくと,今後の自動車の方向性を占う最新技術はしっかりと展示されていた。とりわけ,低炭素社会の実現や脱石油依存に向けて目を引くものが多かった。ここでは,それらの中から本誌が注目したものを「軽量化」「環境車向け技術」「バイオプラ」と区分して紹介しよう。

軽量化

 車両の基本骨格の大半と,ボンネットやルーフのパネルに炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を適用したスポーツカー「LEXUS LFA」(プロトタイプモデル)を出展したのがトヨタ自動車だ(図1)。骨格部分の質量は約190kg。同骨格にアルミニウム合金を使った場合に対して約100kg,鋼を使用した場合に対して約150kgの軽量化を図った。

 こうした広範囲な部位へのCFRPの適用が可能になったのは,CFRP製部材の製造方法を改良するとともに,それらを荷重や形状の複雑さなどに応じて適材適所で選んだためだ。具体的には,(1)強度は高いが生産性が低くコストも高いプリプレグ工法(2)プリプレグ工法よりも生産性に優れるが強度が多少劣るRTM(Resin TransferMolding)工法(3)形状自由度が高く生産性に優れるが強度は他の二つの工法よりも劣るC-SMC(Carbon-SheetMolding Compound)工法──を使い分けている。

〔以下,日経ものづくり2009年12月号に掲載〕

図1●基本骨格の大半に繊維強化プラスチック(CFRP)を適用したトヨタ自動車のスポーツカー「LEXUS LFA」(プロトタイプモデル)とCFRP製骨格の一部
(a)がLFAの外観,(b)がCFRP製の部材。

環境車向け技術

 ハイブリッド車(HEV)の変速機向けに玉軸受の高速回転化を図ったのが,ジェイテクトと日本精工である。ジェイテクトは5万rpm,日本精工は3万rpmにそれぞれ対応可能な玉軸受を展示した。

 背景にあるのが,モータを小型・軽量化しながらそれによる出力低下を補うためにモータの回転数を高めたい,というHEV開発側からの要望。このため,減速機に使う軸受にも高回転化への対応が求められている。

 ジェイテクトが出品したのは,dmn値〔軸受のピッチ円径(mm)×回転数(rpm)〕が225万で,外径が60mmほどの玉軸受である(図2)。同社の従来品では「対応可能な回転数は2万~3万rpmだった」(同社)。内輪と外輪の間で玉を保持する樹脂製の保持器の形状を見直すことで,5万rpmへの対応を可能とした。

 同社では,従来,玉を保持する腕がクシの歯状に片側から張り出している樹脂製の保持器を使っていた。クシの歯に相当する腕と腕の間に玉を入れて保持するもので,玉と向き合う腕の側面は玉の形状に沿うように球面状に湾曲させている。軸受の回転数が高くなると,このクシの歯状の腕が遠心力によって軸受の外周方向に引っ張られる。それにより,球面状に湾曲させた部分が軸受の内周側から外周側に持ち上がり,玉に強く押し付けられる。これが,焼き付きの原因になっていた。

〔以下,日経ものづくり2009年12月号に掲載〕

図2●高速回転化を図った,ジェイテクトの玉軸受
右が玉軸受,左がその保持器。

バイオプラ

 三菱自動車は,植物由来樹脂で製造した内装部品を試作し,展示した。再生可能な植物原料を使用することで,自動車のライフサイクル全体における二酸化炭素の排出量を削減するのが狙いだ。今後は,量産車種への適用を目指す。

 同社が展示した内装部品は,以下の4種類である(図3)。
(1)竹繊維とひまし油(トウゴマの種子から得た油)由来の原料を含むポリウレタン(PU)で造ったサイドドアトリム
(2)ひまし油由来の原料を含むPUで製造したクッションバイオプラ
(3)飼料用のトウモロコシを原料とするポリ乳酸(PLA)などを使った射出成形部材
(4)PLAを主原料とする複合繊維から成る表皮材

 (1)は,BASF INOAC ポリウレタン(本社愛知県新城市)と共同で開発したもの。植物由来原料として竹繊維,ひまし油由来ポリオール,ヤシ油グリセリンを使用し,さらに石油由来ポリオールや石油系のジフェニルメタン・ジイソシアネートを加えて,竹繊維強化PUとした。

〔以下,日経ものづくり2009年12月号に掲載〕

図3●三菱自動車が展示したバイオプラスチック製内装部品の試作品
(a)は,竹繊維やひまし油由来ポリオールなどから造ったサイドドアトリム。(b)は,ポリ乳酸(PLA),ジュート,ポリアリレートから製造した射出成形部材。(c)は,ひまし油由来ポリオールなどから成るクッションと,PLA複合繊維製の表皮材。