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研修生たちは,研修最後のカイゼン実習会に挑んでいた。会場は,茨城県下妻市にある茨城富士。研修生の佐藤万里子と三浦純は,同社工場のモータ制御ユニットの組立工程で,ベテランスタッフの石川昌之と対た いじ峙していた。カイゼン策は思い浮かんでいた。問題は,いかに石川に納得してもらった上で実行するかだった。

ほんわかとした雰囲気の佐藤万里子(左)と,カイゼンへの強い思いを見せる三浦純(中央)。二人はタイプこそ違えど,絶妙な連携プレーで茨城富士の石川昌之(右)を納得させていった。写真:堀 勝志古

 2009年8月某日の正午前。産業用設備の配電盤や制御盤を製造する茨城富士の工場は,いつもよりも明るい雰囲気に包まれていた。

「これで完成ですか?」

「はい。この機種はそうです」

 あちらこちらで,カイゼンを目的にやって来た女性たちと,現場スタッフの男性たちが交わす会話が聞こえる。女性たちは,PEC産業教育センターの女性現場リーダー向け研修を受講する研修生。既に2回のカイゼン実習会をほかの2工場で終え,この日,最後の実習会に臨んでいた。

 工場内の三つの生産ラインを舞台に,研修生たちは6~7人のチームに分かれてカイゼンに汗を流していた。ソニーケミカル&インフォメーションデバイスなかだ事業所の佐藤万里子が担当していたのは,モータ制御ユニットの組立工程。会話の相手は,茨城富士のベテランスタッフ,石川昌之である。

「これからカイゼンをして,またタイムを計って…」

 石川の前で,佐藤が今後の手順を小声でつぶやいた。

 同工程は,5台の作業台から構成されていた。最初の台で「主回路配線」,次の三つの台で「操作回路配線」,最後の一つで「最終組み立て」をする。石川が担当していたのは,操作回路配線の三つめの台だった。全工程を合わせると,サイクルタイムは3~4時間。佐藤たちは講師の山崎昌彦の指示で,全体の作業を見るのではなく,そのうちの「10分間」だけを集中して見て,ムダを省こうと試みていた。

〔以下,日経ものづくり2009年12月号に掲載〕