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電池業界を揺さぶる事故が1995年に起こった。ソニーのLiイオン2次電池工場が出火したのである。当時,警察署や消防署と,約5カ月にわたって事故原因を検証した。結論は,電池が発火した可能性は極めて低いというものだった。もし電池自体が発火したという結論であれば,その後のビジネスへの影響は甚大だっただろう。今回と次回の2回に分けて,Liイオン2次電池の安全対策を解説する。(本誌)

西 美緒
元ソニー 業務執行役員上席常務

【電池の火災事故を報じた記事】ソニーの郡山工場にてエージング中の電池100万個が焼失したと,『日経エレクトロニクス』が1995年12月4日号で報じた。
電池の火災事故を報じた記事
ソニーの郡山工場にてエージング中の電池100万個が焼失したと,『日経エレクトロニクス』が1995年12月4日号で報じた。
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 1995年11月4日早朝――。順調に成長しつつあったソニーの電池ビジネスに大きな危機が訪れた。福島県郡山市にある電池会社,ソニー・エナジー・テックのLiイオン2次電池(LIB)の製造現場(第3工場)で火災が発生したのだ。

 筆者がちょうど海外出張から帰国した日で,家内に帰国の無事を知らせた時に聞かされた。我が耳を疑った。すぐさま工場と連絡したところ,工場内のエージング室と充放電室が全焼したとのこと。従業員が初期消火に努めたけれど及ばなかったという。

「危険物指定」を回避しろ

 翌日,取るものも取りあえず福島県の郡山に駆けつけた。すると,第3工場の2階の南側の壁に大きな穴が開いているのが見える。充放電室に窓が設置されていなかったため消防のホースが入れられず,パワー・シャベルで壁をぶち抜いたのだ。東側に回ってみると,事態はもっと悲惨だった。2階の壁がすべて壊されており,真っ黒になった2階内部が丸見えである。1階と3階の白壁の間に真っ黒な帯が挟まっているように見え,それは白/黒/白の不吉な三色旗のようだった。

『日経エレクトロニクス』2008年12月28日号より一部掲載

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