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2009年11月に政府の行政刷新会議が実施した「事業仕分け」。一般の人の間でも話題となった「次世代スーパーコンピュータ」の予算凍結勧告に象徴されるように,科学技術関連の大型プロジェクトに大ナタを振るう結果となった)。後の閣僚折衝で一部は復活したが,削減や中止が決まったものもある。このため,日本の科学技術の将来について憂う声が研究者から相次いでいる。事業仕分けの「仕掛け人」に,科学技術予算を事業仕分けにかける意義や狙いについて聞いた。(聞き手は本誌編集長 田野倉 保雄,野澤 哲生=日経エレクトロニクス)

(写真:加藤 康)

──今回の事業仕分けの狙い,原点は何か。

 政府の予算編成の中で事業仕分けが始まった経緯もあって,予算の削減が目的のようにいわれるが,それは本来の狙いではない。これまで,学者や官僚だけの閉じた世界で決められていた予算配分が,実際に現場でどのように使われているかを明らかにすることが事業仕分けの原点だ。

 学者や官僚が作成した報告書がいくらきれいにまとまっていても,現場からその実態を見るとひどい問題を抱えた例が多い。そうした問題を(官僚側に)突き付け,衆目にさらされる状況にする。それ自体が事業仕分けの目的だ。

 事業仕分けは2002年から,地方自治体を中心に実施してきた。例えば,2002年に岩手県で仕分け対象にしたのは,さまざまな「育成事業」と呼ばれるものだった。その実態を調べると,「公園で子供を子馬に乗せる」といった内容で,本当に必要でも,県がやるべきことでもなかった。現場を知れば明らかなのに,役人は「いや,育成事業は重要だ」の一点張りだった。

 今回の文部科学省のプロジェクトに対する事業仕分け,例えば次世代スーパーコンピュータ(次世代スパコン)でいえば,我々は専門家も交えた約20人のチームで2週間以上もプロジェクトの中身を検討し,問題点を洗い出して共有していた。事業仕分けで聞こうとしたのは,プロジェクトの企画書に書いてあるような次世代スパコンの重要性などの「総論」「門構え」ではなく,そうした門を開けて入った後の,具体的なお金の使われ方や効果といった「各論」だ。

 ところが,役人はそれを理解できず,総論ばかりを回答として繰り返した。次世代スパコンに限らず,多くの事業仕分けで,かみ合わない議論が繰り返されることになった。

『日経エレクトロニクス』2010年1月25日号より一部掲載

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