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第4回の前編で説明したように,Liイオン2次電池には多くの安全対策を施してある。それにもかかわらず,事故がなくならない。その原因の多くが,電池自身というよりも,“使い方”に起因するからだ。特に,急速充電などによって起こる過充電が問題となる。これが,金属Liの析出や,反応性の高い酸素を発生させやすくする。第5回の後編では,電池事故が起こるメカニズムや,安全性の高いLiイオン2次電池開発の現状を解説する。(本誌)

西 美緒
元ソニー 業務執行役員上席常務

 Liイオン2次電池(LIB)自身の欠陥による事故の確率は,極めて低い。2009年3月に米国フロリダ州で開催された電池の国際学会「26th International Battery Seminar & Exhibit」において,米Sandia National Laboratory(SNL)は,電池自身が原因となる事故の確率は1ppm以下と報告した。電池の安全対策を手掛ける米TIAX LLCは0.2~0.5ppmとし,これは品質管理の手法である「シックス・シグマ(6σ)」で管理し得る限界を超えると述べた。

 1ppmというのは,希有な現象といってもよさそうな確率である。米国で落雷によって1年以内に死ぬ確率は約1ppm。日本で宝くじの1等に当選する確率は0.1ppmとなる。つまり,LIB自身の欠陥による事故確率は,宝くじの1等当選よりも少し高く,落雷による死亡とほぼ同じということになる。第4回(2009年12月28日号)で記したように,LIBには何重もの安全対策を張り巡らせてあるからだ。

図1 電池が燃える大きな原因の一つが過充電充電
電圧がわずか50mV程度違うだけで,電池は燃えることがある(a,b)。(写真:富士通テクノリサーチ)

『日経エレクトロニクス』2010年1月25日号より一部掲載

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