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事故は,改装したばかりのアパレル店舗で発生した。買い物客で混み合う土曜日の午後,分電盤から異臭が漂っていることに店員が気付く。その時点では特に異常は見つからなかったが,翌日の昼ごろに分電盤から出火。内部の分岐ブレーカが焼損し,店舗の一部が停電した。

 ビルの保守担当者が分岐ブレーカを確認すると,1次側(電源側)が著しく焼損していた(図)。停電したままで営業を続けるわけにはいかないので,事故当日は予備のブレーカを使った。

 焼損した分岐ブレーカの状況から,保守担当者は端子部の接触不良が原因であると類推していた。導線をねじ留めする際の締め付けが不十分だったために端子部付近で発熱し,ブレーカの内部から発火して焼損に至ったという見立てである。だが,当のブレーカに遮断動作を行った形跡がない。なぜブレーカは本来の役割を果たさなかったのか。その理由を知りたいということで,筆者に調査依頼が来た。そこで,

  • 焼損に至るまでの詳細な経過
  • ブレーカが遮断動作しなかった理由

という二つの点を明らかにすべく,筆者は調査に着手した。

〔以下,日経ものづくり2010年3月号に掲載〕

図●出火した分電盤
ブレーカやリレーを多数搭載しており,各負荷機器に電力を分配する。