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「実践モジュラーデザイン」は,売れる製品とバランスさせ,最適な部品数で利益構造を改善する「モジュラーデザイン(MD)」について,体系的・実践的に解説するコラムです。

 いよいよ本コラムも最終回となった。最後に,擦り合わせ型製品のモジュラー化を中心としたモジュール化戦略を述べる。製品の中には擦り合わせ設計を必要とするもの(通称「擦り合わせ型製品」)が多く存在するが,擦り合わせで設計すると多くの部品種類が生まれる。そうなれば多くの製造機械,金型,治具,検査具,工具,専用材料が生まれ,それらを造る過程で多くのエネルギを消費するとともに,廃棄処分するときにまた多くのエネルギを消費する。それらの大量の消費エネルギは,最終的に地球にストレスを与えることになる。

 製造業ではエコロジー型製品の開発が経営戦略になりつつある。併せて,社内に製品の多様化と部品の少数化を両立させるモジュラーデザインの体制を確立するとともに,擦り合わせ型製品をモジュラー型に変えて業界内で広く共用し,地球上に無駄な部品を存在させない経営に転換する戦略が必要だ。

〔以下,日経ものづくり2010年3月号に掲載〕

日野三十四(ひの・さとし)
モノづくり経営研究所イマジン 所長,日本IBM 顧問
1968年に自動車メーカーに入社。1980年にトヨタ自動車のベンチマーキング開始。1988年にトヨタの部品共通化能力を超える手法を目指し,MDの研究を開始。2000年に経営コンサルタントとして独立。2002年に『トヨタ経営システムの研究』(ダイヤモンド社)を出版(韓,台,米,タイ,中,ブラジルで翻訳出版)。2003年に日本ナレッジ・マネジメント学会から研究賞受賞。2003年から日韓のメーカーにおいてMDをコンサルティング。2007年に“製造業のノーベル賞”といわれる米Shingo Prizeから研究賞受賞。2008年から日本IBM顧問。