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モータの構造を抜本的に変える競争が始まっている。震源地は洗濯乾燥機だ。「磁石の磁力を変えられる」「巻き線の回路を切り替えられる」「二つのロータを備える」など,これまでにないモータが登場している。洗浄や脱水の能力をはじめ,省エネルギー性や静音性を競い合う中で生まれた。こうした新型モータは今後,電気自動車など他分野のモータ開発を牽引しそうだ。

進化する洗濯機用のモータ

 「モータのタブーに挑戦した」(東芝ホームアプライアンス)──。

 家電用モータの世界で今,革新が起こっている。特に,洗濯乾燥機用のモータの進化が顕著だ。東芝ホームアプライアンスは,2009年秋に発売した2010年モデルにおいて,磁石の磁力を変化させる「可変磁力」方式のモータを実用化した。永久磁石の磁力を変化させて,低回転時と高回転時のモータの特性を切り替える“離れ業”を実現している。あるモータ機器の開発者は,「これまでにない幅広い回転領域でモータの特性を向上できる興味深い取り組みだ」とする。

 モータ技術の革新に注力しているのは,東芝ホームアプライアンスだけではない。日立アプライアンスも,低回転時と高回転時での特性を変えるべく,巻き線を直列および並列に切り替える「巻き線切り替え」方式のモータを2010年モデルの洗濯乾燥機に搭載した。パナソニックは,出力の向上を図るため,二つのロータを備える「デュアル・ロータ」方式と呼ぶモータを2008年モデルから洗濯乾燥機に搭載している。

 家電メーカーは,1年ごとに洗濯乾燥機の新製品を投入しなければならない激しい競争にさらされている。こうした中,洗浄や脱水の能力,省エネルギー性,静音性などで他社をリードするために,新たな構造を備えるモータを各社が競って投入しているのだ。

 これらの新型モータは,他の家電をはじめ,電気自動車や電動バイクといった電動車両のモータ開発にも大きな影響を与えそうだ。特に,市場の急拡大が期待されている電動車両のモータでは,洗濯乾燥機と同じく,低回転から高回転まで効率良く駆動するモータが求められている。

『日経エレクトロニクス』2010年3月8日号より一部掲載

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