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まさに戦国時代。2010年の電子書籍業界は,新規参入を含む多数の企業が入り乱れる競争が起きる。こうした中,電子書籍端末は単に書籍を“読める”だけでなく,快適な読書体験をユーザーに提供することが極めて重要になる。今回,最新の電子書籍端末2機種を入手し,技術者による分解や操作性/UIの評価を実施した。快適な読書体験の実現手段を,ソフトウエアとハードウエアの両面から探った。

「Reader Daily Edition」(ソニー)と「nook」(Barnes & Noble社)の構成部品

 電子書籍市場が,黎明期を脱し発展期へ移行しようとしている。米Amazon.com,Inc.とソニーが牽引して立ち上がった市場は今後,多種多様な端末を利用してさまざまなビジネスを展開するプレーヤーで入り乱れる。特に注目されるのが,これまでの書籍中心のコンテンツに加えて,新聞や雑誌などを含む幅広いコンテンツが配信されるようになることだ。こうしたコンテンツの広がりに対応する,多彩な端末が登場する。

 例えば,米Apple Inc.が2010年4月に発売するタブレット型端末「iPad」。この端末は電子書籍への対応もアピールしているが,決してそれに特化したものではない。さまざまなアプリケーションに対応できるようにカラー液晶パネルを搭載する。このため,雑誌やコミックスなどカラー表示が必須のコンテンツを配信したい事業者にとっては,魅力的な端末になり得るだろう。

 新聞などの配信に向く端末も相次いで登場する。電子ペーパーを利用しており表示はモノクロだが,画面寸法が10型台と大きい端末だ。米Plastic Logic社が2010年夏に発売する「QUE」や,米国のメディア大手Hearst Corp.の子会社である米Skiff社が2010年中に発売する「Skiff Reader」などである。

 一方,これまで市場を牽引してきた書籍向けの端末も,今後の市場拡大に向けて急ピッチで改良が進む。例えば,最近登場したソニーの「Reader Daily Edition」や,米国最大の書店であるBarnes & Noble社の「nook」には,共通点がある。Amazon.com社の「Kindle」など既存の電子書籍端末との差異化を明確にするため,操作性やユーザー・インタフェース(UI)に工夫を凝らしている点である。

快適な読書体験が重要に

 まさにこの点は,今後の電子書籍端末の競争軸になる。タブレット型のコンピュータである電子書籍端末のハードウエア構成は,どれも似通っている。極端な話,技術力が高くないメーカーでも参照デザインを流用すれば簡単に作れてしまう。実際,そのような端末が中国メーカーなどから多数登場している。つまり,使い勝手やUIを工夫してユーザーに快適な読書体験を提供しなければ,他社と差異化することができない。

『日経エレクトロニクス』2010年3月22日号より一部掲載

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