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写真:鈴木愛子

 僕がちょうど小・中学生のころでした。当時住んでいた三重県の四日市市では、田んぼの中に突如、タワーだとかタンクだとかが一斉に建ち始めた。そう、石油化学コンビナートです。複雑な配管を巡らした建物は、まさに工場萌えの世界。今はもうほとんど見なくなりましたが、煙突の先端ではフレアスタックといって、火がチラチラと燃えている。その昔、仁徳天皇が民衆のかまどから立ち上る煙を見て、「民の竈は賑わいにけり」と詠ったそうですが、当時の四日市もそれは活気があった。子どもながらに、非常に強い衝撃を受けたことをよく覚えています。

 こうした経験から、僕は、将来はプラントを造る技術者になりたいと思うようになり、大学で化学工学を学び、卒業後は石油化学会社の三菱油化(現・三菱化学)に入りました。配属先は、稼働開始を目前に控えていた鹿島コンビナート。1年ちょっと実習した後に、念願のプラント建設のプロジェクトチームに加わったんです。ところがその途端、プロジェクトが延期になってしまった。忘れもしない、1973年の第1次オイルショックの時です。
〔以下、日経ものづくり2010年5月号に掲載〕(聞き手は本誌編集長 荻原博之)

吉田 宏(よしだ・ひろし)
三菱樹脂 取締役社長
1947年生まれ。1970年3月名古屋大学工学部卒業。同年4月三菱油化(現・三菱化学)入社。2002年4月同社理事石化企画室長、同年6月同社執行役員石化企画室長、2004年4月同社執行役員技術・生産センター鹿島事業所長、2006年4月同社常務執行役員ポリマー本部長兼日本ポリケム社取締役社長。2007年4月三菱樹脂副社長執行役員、同年6月同社代表取締役兼副社長執行役員、2008年4月同社代表取締役社長に就任、現在に至る。趣味は釣りや陶芸など。「明るく生きる」を心に掲げる。