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「渋滞学・西成教授の数学で闘え」は、技術の現場で発生する課題を、技術者が自ら数学を用いて解決する方法を学べるコラム。数学に苦手意識を持つ人でも楽しく学べるように「これだけは」という要点のみをまとめる。
2010年5月号の本コラムのp.86で、最も短くなる結び方のヒントとして「2.78」とあるのは「2.73」の間違いでした。お詫びして、訂正いたします。

 これまでは、実社会で生じる課題を解決できる数理科学とは、どのようなものかを説明してきました。この数理科学を活用するには、ある考え方を持つことが非常に重要になります。そこで前回(2010年4月号)、次のようなクイズを出しました。その考え方とは次のうちどれか、皆さんは分かりましたか。

A. 異なるものを同じと言う勇気を持つ
B. 同じものを異なると言う勇気を持つ
C. 異なるものを異なると言う勇気を持つ

 正解は、Aの「異なるものを同じと言う」です。
(ボードに下掲の文字を書いていく)

 これ、すっごく大事。どの過程でこういう思想のようなものが形成されるのか分かりませんが、私たちの中には、異なるものを同じと言える人とそうでない人がいます。この間、実際に私が学会で聞いた言い争いの例をご紹介しましょう。議題は、血管のダイナミクスに関するものでした。

〔以下、日経ものづくり2010年5月号に掲載〕

西成活裕(にしなり・かつひろ)
東京大学 教授
東京大学先端科学技術研究センター教授。1967年東京生まれ。1995年に東京大学工学系研究科航空宇宙工学専攻博士課程を終了後、山形大学工学部機械システム工学科、龍谷大学理工学部数理情報学科、ドイツUniversity of Cologneの理論物理学研究所を経て、2005年に東京大学大学院工学系研究科航空宇宙工学専攻に移り、2009年から現職。著書に『渋滞学』『無駄学』(共に新潮選書)など。