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【強さの秘密】研究開発型の企業だが、世界一の性能と品質にこだわって開発を進めており、結果的に独自性の強い製品を数多く持つ。主力の手術用縫合針市場では、材料と加工の両面で高い技術力を磨き、海外メーカーも含めて同業他社の追随を許さない。

 マニーは、手術用縫合針や眼科用ナイフ、歯科用リーマなどの医療器具メーカーである。全製品を鋼の線材、つまり「針金」から造ることから「針金屋」を自認し、営業高利益率は4割前後と高い。企業規模も中小企業の枠を超えつつある優良企業だ。

 看板製品は、国内シェア90%を誇り、世界でも約120カ国で使われている手術用縫合針。欧州では「手術針のロールスロイス」の異名を取るなど、硬くて折れにくいというその品質は高い評価を得ている。

 マニーの手術針が多くの他社製品と異なるのは、使用する素材が一般的なマルテンサイト系ステンレス鋼ではなく、独自のオーステナイト系ステンレス鋼だという点にある(図)。

 マルテンサイト系ステンレス鋼は熱処理(焼き入れ/焼き戻し)によって高い硬度や強度が得られるため、刃物などの素材に広く使われている。従って、かつては手術用縫合針の素材はマルテンサイト系ステンレス鋼が主流だった。ただし、このステンレス鋼には、手術針の素材として使う上での難点があった。硬いけれども曲げや引っ張りなどの衝撃に弱く、もろい。つまり、折れやすいのだ。

 手術中に折れると、組織や皮膚を傷付けたり、体内に残ったりといった危険が懸念される。「医療現場では切れ味よりも安全が第一」と考えた同社は、1961年に業界に先駆けて、18-8ステンレス鋼と呼ばれるオーステナイト系ステンレス鋼を使用した針を造った。

〔以下、日経ものづくり2010年6月号に掲載〕

図●曲げ試験の顕微鏡写真
曲げた際に、一般的なマルテンサイト系ステンレス鋼製の他社製品は亀裂が入ってしまうが、マニーの針は折れない。