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「ホンダ イノベーション魂!」は、独創的な技術開発で成功をたぐり寄せるために、技術者は何をすべきかを解き明かしていく実践講座。数多くのイノベーションを実現してきたホンダでエアバッグを開発した技術者が、イノベーションの本質に迫る。

 従来技術の延長ではなく、これまでに全くなかった新たな価値(絶対価値)を実現することがイノベーションだと書いてきた。これは、言葉にするのは簡単だが実際に成し遂げるのは途方もなく難しい。筆者は、エアバッグシステムの基礎研究から始めて製品開発を終え、16年の歳月をかけて日本初の量産にたどり着いたので、その難しさを実際に体験している。

 しかし、立ち止まっていては何も始まらない。前に進むために、前回(2010年7月号)描いた「ホンダ流イノベーションの見取り図」の、イノベーションの加速装置に当たる「企業文化」と「仕掛け」の具体的な内容を見ていく(図)。この加速装置は、イノベーションの成功を手繰り寄せるための確かな手掛かりとなるからだ。今回と次回のテーマは、「ワイガヤ」である。

〔以下、日経ものづくり2010年8月号に掲載〕

図●ワイガヤがイノベーションを加速する
ワイガヤは、ホンダのイノベーションの加速装置の一つ。図は、前回(2010年7月号)の図1から一部を抜き出したもの。

小林三郎(こばやし・さぶろう)
中央大学 大学院 戦略経営研究科 客員教授(元・ホンダ 経営企画部長)
1945年東京都生まれ。1968年早稲田大学理工学部卒業。1970年米University of California,Berkeley校工学部修士課程修了。1971年に本田技術研究所に入社。16年間に及ぶ研究の成果として、1987年日本初のSRSエアバッグの開発・量産・市販に成功。2000年にはホンダの経営企画部長に就任。2005年12月に退職後、一橋大学大学院国際企業戦略研究科客員教授を経て、2010年4月から現職。