
1990年代を通じたディーゼルターボエンジンの急速な進化により、欧州市場では、乗用車用でガソリンエンジンとほぼ半々というほどディーゼルエンジン比率が上がっている。ディーゼルのターボ化に次いで、ここ数年、顕著な拡大を見せているのが、ガソリンエンジンの排気量を下げて燃費を向上させ、低下した出力をターボチャージャなど過給機の装着で補う「ダウンサイジング」の動きだ。こうしたガソリンおよびディーゼルのターボ化は、いずれもCO2削減に向けた取り組みの一環として位置づけられている。
市場がそのように動くなか、ターボチャージャで2016年にグローバル生産1000万台を実現し、世界トップシェアを狙うのが三菱重工業である。目標達成に向け、1990年代半ばから、三菱重工業のターボチャージャ開発に携わり、現在は同社の汎用機・特車事業本部ターボ事業部ターボ技術部ターボ設計一課の課長として、開発の最前線に立つのが前川昌三である。