知恵(知識を活用できる能力)を支えるためのノウハウを、対話を通して引き出し、まとめていく場面へと話を進めたい。今回は、ある設計作業を対象とし、その中での検討項目を洗い出し、さらに構造を伴った形で可視化するところまでを、具体的な対話例を通して説明する(図)。
ここで紹介する対話は、達人に業務について話を聞きながら、検討項目を洗い出し、構造化していく例である。おおむね中工程の大きさの業務から洗い出しを始め、ブレークダウンしていく。中工程とは、リソース(人、道具、設備)から見てひとつながりで実施できるところ(例えば、担当者が別の人になる)まで、あるいは中間成果物ができるところまで、といった程度の大きさとなる。
洗い出した検討項目は、相互の関係に着目して整理する。検討項目間の関係が把握できれば、それぞれの項目が「他の検討項目の結果に依存する検討項目か」「他の検討項目の一部か」「全く独立して検討できる内容か」といったことが明らかになる。これを明確にすることによって、対象としている業務の論理的な構造が浮かび上がってくる。
〔以下、日経ものづくり2012年12月号に掲載〕

インクス 事業企画室 ウィズダム・エンジニアリング・リーダー