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『グローバル時代に必須の再チャレンジ組立性・分解性設計』は今号で終わります。2013年1月号からは、日産自動車が実践して大きな成果を上げているデザインレビュー「Quick DR」について解説します。これは、設計の変更点/変化点に着目して迅速かつ簡便に実施するものです。

組立性と分解性を両立させるコツ

 最終回となる今回はいよいよ、組立性・分解性設計を実際の設計業務の中で運用していく時のポイントについて見ていく。そして、最後に、組立性・分解性設計が、自動化や海外生産といったこれまでの活用だけではなく、今後のものづくりにおいてどのような役割を果たせるかについて考えてみたい。

製品開発プロセスの3段階

 組立性・分解性設計は、通常の製品開発プロセスの中に組み込んで活用するものだ。しかし、導入を考える設計者はよく、「実際の業務にどう組み込めばいいのか分からない」と嘆く。そこで本稿では、通常業務に組立性・分解性設計を組み込むときのコツを伝授する。まず、製品開発プロセスとは何かを整理しておこう。

 製品開発プロセスは大きく、[1]概念設計、[2]基本設計、[3]詳細設計、の3段階に分けられる。

 最初の概念設計では、製品の大まかな仕組みや構成を考えながら企画・構想をまとめる〔図[1]〕。製品全体を見渡しながらイメージするため、ラフなスケッチやポンチ絵などを用いる。なるべく多くの案を検討しながら、繰り返し描いていくのがポイントだ。この段階はプロセスの初期段階であるため、設計上の制約条件は少ない。

 こうして大まかな企画・構想が決まったら、次に基本設計に入る〔同[2]〕。

〔以下、日経ものづくり2012年12月号に掲載〕

図●製品開発プロセスの3段階と組立性・分解性設計の3つのデザインの関係
図●製品開発プロセスの3段階と組立性・分解性設計の3つのデザインの関係
製品開発プロセスは、[1]概念設計、[2]基本設計、[3]詳細設計、の3段階に分かれる。組立性・分解性設計の基本は、「フレームデザイン」「ジョイントデザイン」「パーツデザイン」の3つ。これら3つのデザインはそれぞれ、製品開発プロセスの3段階と同期させて実施するのがよい。

山際康之(やまぎわ・やすゆき)
東京造形大学教授
東京大学博士(工学)取得。ソニー入社後、「ウォークマン」などの製品設計を経て、組立性・分解性評価設計法の開発、ビジネス化を推進後、製品環境グローバルヘッドオフィス部門部長。現在、東京造形大学学校法人理事、東京大学人工物工学研究センターなど兼任。著書に『組立性・分解性設計』(講談社)、『サステナブルデザイン』(丸善)など。リサイクル技術開発本多賞、日本生産管理学会賞、日本設計工学会武藤栄次VP賞など受賞。