
2012年12月5~7日に開催された太陽電池の展示会「PVJapan 2012」(千葉県・幕張メッセ)では、各社が太陽電池の世界最高効率を競い合った。このうち結晶Si型太陽電池では、シャープが新たな構造のセルを開発して、高効率化競争に名乗りを上げた。
これまで結晶Si型太陽電池では、米SunPower社とパナソニックが変換効率の高さを競ってきた。SunPower社は、セル表面から電極を廃して裏面のみに形成する「バック・コンタクト」(裏面電極)構造を採用している。表面の電極が入射光の一部を遮ることを防ぎ、電流量を増やす効果がある。同社は2012年春に、セル変換効率が24%と高いセルの開発に成功したことを発表した。現在は、量産の準備を進めている。
SunPower社を追うパナソニックが採用するのは、Siウエハーの表面と裏面にアモルファスSi層を形成する「ヘテロ接合」構造である。表面と裏面でのキャリアの再結合を防ぐなどの効果で、高い電圧が期待できる。研究開発段階の試作品では、セル変換効率23.9%を実現している。
これに対して今回シャープが開発したのは、表面から電極をなくすとともに、表面と裏面にアモルファスSi層を形成したセルである。同社が2011年に量産品で採用したバック・コンタクト構造に、ヘテロ接合を融合した形だ。セル変換効率は2cm角の小型セルで21.7%と低いが、「最初の試作結果であり、まだまだ高められる」(シャープ)と自信を見せる。