照明用を中心に白色LEDモジュールの需要が高まる中、IDECは青色LED素子と黄色蛍光体を組み合わせて白色光を実現する方式のモジュール(疑似白色LEDモジュール)について新たな製法を開発した(図1)*1。従来製法との違いは基板上のLED素子を樹脂で封止する工程にあり、新製法では蛍光体を含むゲル状のシリコーン樹脂シートをLED素子に貼り付けて加熱する。従来製法に比べて封止工程の所要時間を1/9に短縮できる上、品質の安定化や設備の簡素化も図れる。
バラつきを生む要因がない
従来製法と新製法の比較を図2に示した*2。従来製法では、蛍光体を含む液状樹脂でLED素子を封止する。まず、基板上のLED素子の周囲に樹脂をせき止めるための「ダム」を形成し、硬化させる。次に、液状樹脂と蛍光体を撹拌してから基板上のダム内に流し込む。最後に、流し込んだ樹脂を熱で硬化させる。封止工程全体の所要時間は、約6時間である。
だが、この製法では樹脂と蛍光体が均一に混ざらなかったり、樹脂中で蛍光体が沈殿したり、流し込む樹脂の量が増減したりするなどバラつきの要因が多く、品質を安定させるのが難しかった。封止工程の品質がバラつくと、色度ムラが生じるなどLEDモジュールとしての性能にも影響を及ぼす。
〔以下、日経ものづくり2013年3月号に掲載〕

*1 白色光を実現する方式としては、他に光の3原色である赤/緑/青色のLED素子を組み合わせたものもある。ただし、その用途はディスプレイの光源が多い。照明用では、疑似白色LEDモジュールが主流である。
*2 その他、蛍光体を含む固体樹脂シートでLED素子を封止する製法もある。この製法は、品質を安定させやすいが、固体樹脂シート単独では封止できず、別に液体樹脂を用いて封止する必要があるので、生産性は低い。