デジタルとアナログが融合した楽器作り
今回訪れたのは、楽器業界の雄、「YAMAHA」ブランドの管楽器、弦楽器、打楽器を製造しているヤマハミュージッククラフト(以下YMC)の飯田工場(浜松市)である*1。同工場は主に弦楽器(アコースティックギター、エレキギター、サイレントバイオリン)を製造しており、中学生時代からアコースティックギターを弾いてきた筆者にとって、実に楽しみな工場探訪である。
いざ、工場へ
今回は、YMC代表取締役社長の黒澤志郎氏、飯田工場の責任者であるGD生産部長の入谷望氏の案内で、筆者ともう1人、ヤマハ発動機OBの西村技術研究所(浜松市)代表の西村誠一氏が工場に入った。まず通されたのは素材倉庫。そのほとんどが、定寸に加工された木材だ(図1)。
アコースティックギターを弾いたことのある方なら1度は耳にしたことがあると思うが、ローズウッド、スプルース、マホガニーなど、世界中から集められたさまざまな木材がサプライヤーによって定寸加工され、この倉庫に納入される*2。
〔以下、日経ものづくり2013年7月号に掲載〕

*1 生産拠点は国内および、中国とインドネシアに各2拠点あり、国内拠点がハイエンド製品、中国拠点がミッドレンジからハイエンド、インドネシア拠点が普及品からミッドレンジとなっている。例えば、ドラムセットの高級品は国内、それ以外は主に中国で生産している。小中学校の音楽で使われるリコーダーは年間400万本がコンスタントに販売されており、これはYMC豊岡工場(静岡県磐田市)とインドネシアで生産している。
*2 現在、ギター材質で最高級とされる「ハカランダ」はワシントン条約で輸出入が厳しく規制され、そのため価格も高騰している。
関ものづくり研究所 代表