PR
コンサルタントの視点
オーストリアEFS BusinessConsulting社最高経営責任者(CEO)
Truls Thorstensen氏
自動車業界のコンサルタントとして25年以上の経験があり、多くの国際的なプロジェクトを手がけてきた。中国における自動車分野の専門雑誌『China Auto Business Review』にコラムを連載。

 ドイツVolkswagen社(VW)とトヨタ自動車の歴史を振り返り、両社の選んだ開発および生産方式について考えてみると、VWは主に商品とプラットフォームの開発に努力を集中し、トヨタは生産というプロセスを優先してきたといっても過言ではないだろう。しかし、最近の両社の発表を見ると、両社はお互いの得意とする領域に、それぞれ攻め込んでいるように見える。

 VWは2018年までに世界一の自動車メーカーになることを目指すと宣言し、今後3年間に500億ユーロ(1ユーロ=130円換算で6兆5000億円)を開発と生産に投資する予定だ。既にVWは新世代のプラットフォーム「MQB(横置きエンジン車用モジュールマトリックス)」を開発し、「ゴルフ」などに採用して、車両の低コスト化や最大100kgの軽量化に成功しているが、その次のステップとして、生産技術にも力を入れている。生産設備をMQBに適したものに改良することで、2割の生産コスト削減を目指しているのだ。

 一方、トヨタも新プラットフォーム「TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャ)」を開発することによって、VWがMQBで達成するのと同等のコスト削減と生産の柔軟性を目指している。TNGAの採用により、商品展開の柔軟性が高まり、同時に開発・生産投資を抑えることができるだろう。

以下、『日経Automotive Technology』2013年9月号に掲載