いすゞ自動車は、陸上自衛隊などで使われている大型トラック「73式大型トラック」の製造工程を報道陣に初公開した(図1)*1。73式大型トラックは、「3・1/2トラック」(通称3トン半)と呼ばれ、人員や物資などを運ぶのに使われている。民生用とは異なる点も多い特殊なトラックだが、8割近くの部品を民生用と共通化するなどして、民生用トラックと同じラインでの混流生産を実現している*2。
共通作業をメインに集約
3・1/2トラックは、1973年に初期型が開発されて以来、累計で約2万5000台が生産されており、現在、全43車型がある。しかし、生産量は、平均年600台強にすぎず、専用生産ラインは設置できない。そこで、他の民生用中・大型トラックを造るいすゞ自動車藤沢工場(神奈川県藤沢市)の生産ラインで混流生産しているのである。
実は、混流生産されているのは、3・1/2トラックだけではない。同社は、同トラックも含めて1000車型にもおよぶ中・大型トラックを、全て1つのラインで生産している*3。つまり、3・1/2トラックの生産ライン製造工程とは、すなわち同社の中・大型トラックの製造工程に他ならない。
〔以下、日経ものづくり2013年8月号に掲載〕

*1 いすゞ自動車内の型番は「SKW」で、最新型は2012年納入の「SKW477」。
*2 タンク車や除染用車両、地対空ミサイル搭載車など荷台部分への搭載物によってさまざまなバリエーションがあり、それらの搭載は別会社で行われる。
*3 小型トラックは別の混流生産ラインで造られる。