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欧米系の大手自動車部品メーカーに比べて、国内の自動車部品メーカーの技術力は決して負けていない。にもかかわらず、成長性、収益性で見劣りするのはなぜなのか。デロイト トーマツ コンサルティングが、同社の調査結果を基に分析する。

 現在、日本の自動車部品メーカーは、欧米の主要部品メーカーに比べて営業利益率が低く、年平均成長率でも大きく見劣りする(図1)。その理由はどこにあるのだろうか。当社は、こうした問題意識を背景に、日本の部品メーカー14社の協力を得て、成長力、収益力の源泉である研究開発の活動状況に関する調査を実施した。この結果、特に「市場に合わせた部品つくりわけ」「システム・ソリューション提案力強化」「技術投資効率向上」の3点への取り組みが十分進んでいないことが分かった(図1、図2)

これまでの「勝ちパターン」が崩れる

 従来、国内完成車メーカーを相手にした日本の部品メーカーの勝ちパターンは「国内市場を主なターゲットとした均質な性能/品質」の部品を、「要素技術ベースの改善力」によって、完成車メーカーからの要請に応じて「柔軟に対応し、リソースを配分」するという研究開発モデルが中心であった。しかし今回の調査結果は、そうしたモデルが時代遅れになっている現状を示していると考えられる。

 すなわち、市場/顧客が世界に広がり、技術的な領域の拡大が進むなかで、国内の完成車メーカーの要求に対して、場当たり的・個別的な対応を続けることで開発リソースがひっ迫し、新しい価値の創造につながる標準システムの開発・提案や、その成果を活用した市場/顧客の拡大がうまく進まない状況を招いていることが考えられる。

以下、『日経Automotive Technology』2013年11月号に掲載
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図1 内外主要部品メーカーの成長性と収益性
グローバル売上高トップ20を含む世界の主要部品メーカーについて、当該期間における財務データが入手できたメーカーを分析対象とした。ドイツContinental社、米Delphi社、韓国Mobis社の数字がカッコ付きなのは、成長率(左側の数字)が軸を大きくはみ出しているため。(米Delphi社は直近3年の平均値、デロイト トーマツ調べ)
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図2 ベンチマーク調査の項目と結果
取り組み度の定義は次の通り。1:「取り組めていない」、3:「制度・仕組みは整えているが効果は限定的」、5:「制度・仕組みを整備し、結果も伴っている」。
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