トヨタ自動車は2013年9月、上級セダン「クラウンマジェスタ」を全面改良した(図1)。ガソリン車をなくし、ハイブリッド車(HEV)だけに絞った。加えて、これまで価格帯が近かったレクサスブランドの高級セダン「GS」と比べて安くして、レクサス車との違いを分かりやすくした。
新型車は6代目になる。HEVだけにしたのは、トヨタの高級セダンの購入層で、「ガソリン車を買う人は少ない」(同社製品企画本部ZS主査の秋山晃氏)との分析に基づいたためである。2012年12月に発売した「クラウンロイヤル/アスリート」にはガソリン車を用意するが、顧客の約7割がHEVを選ぶという。マジェスタでは、HEVの比率がさらに高まると見込んだ。
新型マジェスタでは、「車両の位置付けを先代から変えた」(秋山氏)という。先代はロイヤル/アスリートと一線を画し、「クラウンの上位グレードというよりは、『セルシオ』に代わるトヨタブランドの“最高級車”」(同氏)と位置付けていた。最高級車と考えると価格帯も上がりがち。結果的にGSのHEVモデル「450h」と似た価格帯になっていた。先代マジェスタの一部改良後の販売価格は612万~792万円。一方、GS450hは700万~800万円である。消費者から「レクサスブランドの車両との違いが分かりにくい」(秋山氏)と見られがちだった。このため販売台数は平均で月170台と低迷し、目標の月1000台に及ばなかった。
