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理想

【Scania社】

「新製品」は要らない
あらゆる進化を適宜反映

 スウェーデンの商用車メーカーであるScania社は、業界でも抜群の収益性を誇る。直近の2012年度(2012年1~12月期)は、欧州不況の影響などによって減収となったが、10.4%の売上高営業利益率を達成した。リーマン・ショックが起きた2009年度でさえ、営業利益を確保している。

 売上高だけで見れば、もっと大きな商用車メーカーはある。だが、利益率ではScania社が群を抜いている。こうした高収益体質を実現できているのは、「モジュール化の考え方がDNAとして組織や個人に根付いている」(かつて同社の技術部門に在籍し、現在はスカニアジャパン代表取締役社長のヨハン ルンデン氏)からに他ならない。

 Scania社は、これまで紹介してきた「成功のための3つの条件」を高い次元で満たしている。いわば、モジュール化の理想形だ。ここまで徹底すれば、同社のように開発の大幅な効率化による収益性の向上が見込める。その考え方を見ていこう。

インタフェースは順守

 まず特筆すべきは、「新製品」という概念がScania社でそれほど重要ではないことだ。一般の企業では、新製品は売り上げを増やすための何よりの起爆剤であるはず。新製品の開発に向けて大量のリソースを割いている。だが、Scania社では、設計を全面的に刷新する「新製品」は望ましくないと考えられている。

 実際、同社が現在販売しているトラックは、2004年に投入したもの。以降、「新製品」は開発しておらず、その予定も当分ない。なぜなら、技術的な改良はモジュールの単位で製品に適宜反映させているからだ。


〔以下、日経ものづくり2013年11月号に掲載〕