PR

スウェーデンの商用車メーカーであるScania社は、徹底的なモジュール化と収益性の高さで全世界の企業から注目されている。もはやDNAとして根付いているというモジュール化について、日本法人のスカニアジャパン代表取締役社長でかつてScania社の技術部門に在籍していたヨハン ルンデン氏が明らかにする。

写真:栗原克己

 「Scania社ではどのようにモジュール化を進めているのですか」という質問をよく受けます。しかし、我々にとってモジュール化とは、意識的に推進するものではありません。モジュール化の考え方は、DNAとして組織に、そして個人に根付いています。我々にとって、モジュール化とは思考回路(マインドセット)そのものです。

 従って、トラックやバスの開発においてモジュール化は前提になっています。例えば、Scania社のエンジンは5気筒、6気筒、8気筒のタイプがありますが、どれもシリンダブロックの形状は全く同じです。シリンダ数が5つ、6つ、8つという違いだけです。単純にいえば、シリンダ数を変えることでエンジン排気量のバリエーションを実現しているわけです。このようにモジュール化は絶対に譲れない前提であり、その上でもっと良い製品を造り上げる、あるいはもっと良いモジュールへと改良していく、というのが我々のDNAです。

 モジュール化の対象は製品に限りません。セールスやアフターサービス、オフィス業務などあらゆる物事に応用しています。例えば、保険も全てモジュール化されており、顧客の要望に応じて必要なパッケージを組み合わせていきます。まさに「レゴブロック」と同じような感覚で、モジュールの組み合わせによってさまざまなバリエーションを顧客に提供するわけです。


〔以下、日経ものづくり2013年11月号に掲載〕
(聞き手は高野敦)

ヨハン・ルンデン
スカニアジャパン 代表取締役社長
1975年生まれ。2000年にマネジメント研修生としてScania社入社、1年の研修を経てビークル・エルゴノミクス(人間工学)部門配属、2005年同部門部長。2007~2011年は経営兼ブランド戦略開発部部長としてグループ経営戦略策定に従事した。この間、量産車向けキャブの開発、ドライバーの心理負荷を低減する音環境の導入、設計プロセスへのエルゴノミクス検証ツール導入、開発プロセスへのリーンシンキング導入、などを手掛ける。2011年11月スカニアジャパン副社長兼コマーシャル・ディレクターに就任、2012年7月から現職。スキー、ゴルフ、テニス、料理、旅行と幅広い趣味を持つ。