10万円台の低価格3Dプリンタの市場が広がりを見せる中、同市場に参入する国内メーカーが増えてきた(表)。その多くが、熱可塑性樹脂をヒータ内蔵の可動ヘッドから吐出する「樹脂溶解方式(FDM)」を採用し、「RepRapプロジェクト」*1から生まれたオープンソースをベースに開発されている。
中小企業2社で共同開発
国産3Dプリンタの草分け的存在であるホットプロシード(本社福岡市)の「Blade-1」や、オープンキューブ(本社横浜市)が2013年7月に発売した「SCOOVO C170」もRepRap系3Dプリンタである1)。最近では2013年11月、スマイルリンク(本社東京)とディビジョン・エンジニアリング(本社横浜市)が共同開発した「DS.1000」が市場投入された*2。
DS.1000では、制御基板やヘッド部(ホットエンド)、制御用のファームウエア、操作ソフト、Gコード生成ソフトなどにオープンソースを利用し、開発負担を軽減した。両社はDS.1000の製品データ、ソフトウエアのパッチ、プロジェクト資料の3点をオープンソースとして公開する予定である。
〔以下、日経ものづくり2013年12月号に掲載〕
*1 RepRapプロジェクト 2005年に英国バース大学のエイドリアン・バース教授によって「自己複製可能な製造マシン(3Dプリンタ)を作る」ことを目的として始まった。技術情報はインターネット上で公開されている。
*2 製品企画の実績や金属加工のノウハウを持つスマイルリンクは製造と販売、工作機械向けソフトウエア開発の経験が豊富なディビジョン・エンジニアリングは製品のデザインと設計、ソフトウエア開発を担当する。
参考文献:1)中山,「オープンキューブの低価格3Dプリンタ、国内生産と日本語表示で使い勝手向上」,『日経ものづくり』,2013年9月号,pp.18-19.