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7つの事例

【ななつ星 in 九州】JR九州(鉄道×超高級)

贅沢なおもてなしで異次元の体験
赤字覚悟の30億円の巨額投資

 豪華寝台列車「ななつ星in九州」の第1期分乗車券が発売されたのは、営業運転が始まる1年前の2012年10月のこと*1。その時点で定員の7倍もの申し込みがあったのは、車両デザインを担当したドーンデザイン研究所(本社東京)代表の水戸岡鋭治氏にとっても、驚きだった。「何しろ私が描いたイラストしかない状況で、図面さえなかったのに、多くの人が乗りたいと言ってくれた」(同氏)。

九州各地をじっくり楽しむ

 ななつ星in九州は、九州を周遊して自然、食、温泉、歴史などをじっくりと満喫することを目的とした寝台列車である(図1)。博多駅発着の1泊2日または3泊4日のコースがあり、3泊4日の場合は福岡、大分、宮崎、鹿児島、熊本というルートで九州を1周する。片道の移動やスピードを目的としていないのが、寝台特急列車と根本的に異なるところだ。

 例えば、3泊4日コースの1日目の夜は温泉で知られる由布院。昼すぎに出発した列車が16時に到着した後、しばらくして夕食が始まる。この夕食には3時間をかけ、その間車両は由布院の近くをゆっくりと走る。食事後、天気が良い場合は真っ暗な中で満天の星を見るツアーを開催。夜の23時30分ごろに宮崎に向けて出発する。宮崎県に入ったあたりで、地域の新鮮な野菜や牛乳、ジュース、ジャムを用いた朝食が出される。食材もサービスも、一流ホテル並みのものである。

〔以下、日経ものづくり2014年1月号に掲載〕

図1●「ななつ星i n九州」の専用列車
図1●「ななつ星i n九州」の専用列車
外観は「古代漆」の塗色で統一している。

*1 2013年10月15日に営業運転を開始した。JR九州の直接販売分は、第3期(2014年4月~6月出発分)の予約受付が既に終了している。

【エアウィーヴ(airweave)】エアウィーヴ(寝具×寝返り性)

安眠の秘訣は寝返りしやすさ
トップアスリート愛用で機能を訴求

 「ものには自信があったから売れるはずだと思っていた。しかし、発売当初は全く売れず、マーケティングがいかに重要かを思い知らされた」─―。エアウィーヴ(本社東京)代表取締役社長の高岡本州氏は、当時をこう振り返る。

 マットレスパッド「エアウィーヴ」は、直径1mm弱ほどのポリエチレン(PE)の糸を絡み合わせて造った寝具で、マットレスの上に敷いて使う(図1)。厚さは5cmほど。凹ませたり曲げたりしても復元力が高いため、低反発系の製品に比べて寝返りが打ちやすい。このため寝返りを打つ際に使う筋肉のエネルギ量が少なく、睡眠の質が高まるという。それでいて寝たときに体圧を分散するので体への負担が小さい。

 この寝返りの打ちやすさから、よく眠れて疲れが取れるとして、今ではトップアスリートなどがこぞって愛用する。旅客機のファーストクラスや高級旅館などでも採用され、急激に売り上げを伸ばしている。2011年に11億円だった売上高は、2012年度は53億円と5倍近くに急増。2013年度には110億円を見込んでいる。2年で10倍の急拡大だ(図2)。

 今でこそテレビCMなどもよく見かける知名度の高い製品だが、2007年6月に発売した当初は全く売れなかった。女性をターゲットに、睡眠による美容と健康をうたった雑誌広告なども消費者には響かず、その後3年ほどは鳴かず飛ばずだった。

 同社はどうやってその苦境を脱してヒット商品に成長させたのか。そこには「いいものは黙っていても売れる」という技術偏重主義からの脱却を図った、緻密なマーケティング戦略があった。

〔以下、日経ものづくり2014年1月号に掲載〕

図1●エアウィーヴ
図1●エアウィーヴ
マットレスの上に敷いて使う。変形させた後の復元力が高く寝返りが打ちやすい。写真は幅100×長さ195×厚さ5cmのシングルサイズ。重さは7kgで、価格は6万3000円(税別)。
図2●売上高の推移
2009年度まではほとんど売れていなかったが、2010年度にようやく4億円を計上。2011度年以降は急激に売り上げを伸ばしている。
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