【審査員特別賞】オムロン 綾部工場
付加価値を生む「協創ハブ」目指す
西山正人氏 (オムロン インダストリアル オートメーション ビジネスカンパニー オートメーションシステム統轄事業部
綾部工場 工場長(兼)草津工場 工場長代理)
─―綾部工場では多数のセンサを工場内のさまざまな箇所に設置し、これらのデータを基に緻密な省エネ制御を実行しています1)。今回の強い工場アワードの審査会議では、綾部工場を高く評価する理由として、自社のセンサを自社の生産ラインに設置していることが挙げられました。どういう経緯で、自社のセンサを使うことになったのですか。
西山氏:これは我々の強みの1つかもしれませんが、ものづくりの現場における生産性を高めるためのツールやシステムを、たまたま我々自身の商品事業が持っていました。
今、世の中ではビッグデータ活用が大きなトレンドになっています。結局、ビッグデータの元というのはセンシングデータを活用しないといけません。その意味では、センサやコントローラを活用することによって、データの入力部分が比較的容易に集められる。こうした基幹部品を自社製で賄えることは工場の競争力を高める上で大きなメリットになります。
─―綾部工場を含めた御社の工場展開戦略をお聞きします。
西山氏:国内のものづくりを取り巻く環境は大きく変わりつつあります。世界レベルで分業生産体制の構築が進み、市場成長は新興国が担い始めている。エネルギ問題も顕在化し、電気料金は高騰しています。そして、人材不足により労働力の低下が進んでしまっている。
こうした環境変化に我々は3つの方向で対応しようとしています。第1に、生産現場でのエネルギ消費を抑える省エネの方向です。多数のセンサを利用した省エネ制御はこれに該当します。第2に、高効率化を目指す方向です。自働化などを推進して生産性を高め、物流を含めたトータルコストの削減を進めています。第3に、先端性を追求する方向。新工法を開発したり、ロボットや3Dスキャナなどの新技術を活用したりすることで、新しいビジネスチャンスを生み出すとともに、ものづくりも変えたい。
〔以下、日経ものづくり2014年1月号に掲載〕

参考文献:1)「強い工場」取材班, 「センサ158台で工程を定量管理、品質と生産性を下げずに省エネ」,『日経ものづくり』,2013年5月号,pp.52-54.